第11話

浦島太郎さんにも友情の印として葛篭を差し上げることにしました、

まあ口封じみたいな気持ちもあったのですが。


  あれ? では葛篭を貰ったのはかぐや姫ですか? それとも婆さん?


おばあさんですよ、あの時はもう婆さんになっていましたから。

かぐや姫は昔の話で、今はもうすっかりばあさんです。

だから、大きくてバカ重い葛篭が欲しい!と言ってエイやコラよいしょ‼と担いで帰りましたよ。


太郎爺さんは、魚籠(びく)と釣り竿より重い物を持ったことが無いので

軽いのを貰いました。

小学生のランドセルのような小さい葛篭を背負いました。


体力的にはちょうどよかったんでしょうね、

決して遠慮して小さいのを選んだということではなかったようです。

重いものは婆さんに持たせればよい、と思ったんでしょう。


二人して帰っていきましたよ、

婆さんはいつも重いものを持ち馴れていたから歩幅は二人一緒でした。


  その話は知っていますよ、欲張り婆さんが葛篭を開けると中から

  魑魅魍魎や毒々しいものが沢山あふれ出たのですよね、

  そして最後に箱の底から出て来たのは、ヒカリ、つまり希望の光でしょ?


それはパンドラの箱の話と一緒くたになってませんか?

希望なんて入っていませんでした。

絶望ばかりでした。


スズメが渡した葛篭の中身は

それを開けた人の心の中身と同じものが入っていることがあるそうです。

葛篭にも当たり外れがあって、あの時の葛篭の大きい方はドンピシャでした・・・



                              …続く

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