第7話
私はスズメ、舌切り雀の雀ではありませんが。
あの竹林であの事件が起きた時のあのパーティの主催者でした。
イベントプロデューサーと呼ばれています。
あの事件が起こった時、大嵐のような状況になって、驚いた拍子に口があんぐり、
飛んできた笹の葉が刃のように鋭く当たり、この私の小さな舌を…
ああ、思い出したくもありません。
あれから長い間舌が治る迄しゃべれなかったのですが
今やっと証言ができます。
では質問を始めます。あのじじばばは一体誰ですか?
あのあと二人はどうしましたか?
私の知る限りの真実をうそ偽りなく証言させていただきます。
七福神にお誓いします。嘘をついたらハリセンボン飲み込みます。
針千本にしてください、ハリセンボンはもうすぐ絶滅危惧種です。
あの爺さんの本名は浦島太郎といって、大昔竜宮城へ亀に連れられて
遊びに行きました。
乙姫様やタイやヒラメを相手に毎日毎晩遊び尽くしたら飽きてきたそうです。
わらべ歌であるでしょう?
行きは良い好い、帰りは怖い~ おや、歌も歌えるようになりました、
うれしやうれしや~
どうしても故郷に帰りたくなっ浦島太郎さんは、何度も乙姫様に懇願しまくって
やっとのことで海の底の竜宮城から帰ってくることができました。
でも、陸の上ではすでに数百年もの時間が経っていたのでした。
故郷に戻って来たのにもう誰も知る人が生きていないショックで
太郎さんは竜宮城には帰る気にもなれず、お土産にもらった
決して開けてはいけないと言われた玉手箱を開けてしまいました。
そしたら歌にあるように、あっという間にお爺さんになってしまいました。
あ、もう歌わなくって結構ですよ、
じゃあ、あのおばあさんは乙姫さんですか?
いいえェ、乙姫さんは歩けないので陸に上がってはきませんよ!
…続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます