第3話
時間はどうだって? そんなことは心配しなくっていいよ。
適当にどこにいつでも出演できるハケンは人気があってひっぱりだこなのさ。
ネズミがやってきて、そろそろ竜巻も近づいてくるよ!と告げたから
婆さんは慌てて魔女の箒に乗ってカンザス州のドロシーの待つ草原にすっ飛んでいったとさ。
そうこうしているうちに、あらま、もう帰って来たよ。びしょぬれになって。
ドロシーがカカシ男に燃え移った火を消そうとして水を掛けたら、
筋書き通り天敵の水を頭に被ってな、気の毒にこれが致命傷で魔女は消えてしまったとさ、ということで一仕事を終えてハケン婆さん戻って来たんだよ。
次の仕事だよ、早くおし! 婆さんがネズミ達に叫びながら濡れたとんがり帽子を脱ぐと水がバシャっと飛び散ったけど、それにもめげず、ネズミ達はまた婆さんに
飛びついてなめ始めたのさ。
続いて何役もできるようにと、婆さんが変身したのはディズニーに出てくる鼻の上に大きなイボのある本格的な魔女だったのだよ。
これなら一人で何役も出来るからね。
婆さんが手にしたのは真っ赤な美味しそうな林檎が入ったバスケット。
その中に一つ怪しく光る特別な毒林檎。入れたのはもちろんネズミ。
婆さんはその格好で、
① 白雪姫を毒リンゴで仮死状態にし、
② ヘンゼルとグレーテルをお菓子の家に誘い込み、
③ お姫様とお城の人達を100年も眠らせ、
④ ついでに王子様を野獣に変える
という魔女のお仕事を次々とすませて、くったくたになって戻って来たのさ。
さあ、わたしゃもう行かなくてわ。たのむよ、と言ってまた
ネズミ達に嘗め回されて元の婆さんに戻ったのさ。
ネズミ達はもちろん婆さんの背負い篭にたっぷりの小枝を詰め込んでおいたのさ。
…続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます