終了フェイズ

GM:さて、終了フェイズのはじめは【抑圧の解放】です。それぞれ理性値に等しい枚数の抑圧を捨て札にできます。

ヴァイオレット:ボクは抑圧は0枚だから問題なし!(笑)。

圭斗:俺の理性値は8だから……うん、残った3枚は全部捨てられるな。

GM:オーケーです! では、次に後日談の演出にいきます。

 カリーノは軍に引き渡した、って感じでいいのかな?

圭斗:それでいいと思う。

ヴァイオレット:うん。実際、非合法な人体実験はしてたっぽいし。

GM:では、失踪していた人々も無事解放され、手錠をかけられたカリーノを連れて行く軍警さんたちを見送る君たちの後ろから、ぱちぱちぱちと拍手の音が。

ヴァイオレット:あ!

圭斗:やっぱりお出ましか。

GM/ミスター・クロウ:「お見事でした。パンカーズ」

圭斗:「お気に入りの蒸気事件を解決されたってのに、堪えてねぇみたいだな?」

GM/ミスター・クロウ:「カリーノの研究に興味があったのは事実ですが、本来の目的はあの機械の女神ミューズのデータを集めるためでしたので」

ヴァイオレット:「全部あなたの想定通りだったってこと?」

GM/ミスター・クロウ:「いいえ、すべてではありませんよ。たったふたりで、ここまで迅速に解決されるとはねぇ」

圭斗:「お褒めいただき光栄なこったな」

GM/ミスター・クロウ:「そんなおふたりに、ご褒美をあげましょう」

ヴァイオレット:え、なんかすごく嫌な予感。

GM/ミスター・クロウ:「そんなに身構えなくともいいですよ。あなたたちの知らないことをお教えするだけですから。――『もし、“沈黙の6日間”が蒸気大戦を終わらせるための舞台装置デア・エクスマキナだったとしたら?』」

圭斗:片眉をぴくっとさせて、「何……?」とつぶやこう。

ヴァイオレット:圭斗の様子が変だから、不安になってマントの裾引いちゃうよ。

GM/ミスター・クロウ:「ふふっ。それでは、私はこれにて」と蒸気の霧の中に消えて行きます。

圭斗:ふむ……。

ヴァイオレット:「圭斗、ミスター・クロウが言ってたことって何?」

圭斗:「……とにかく、ウィルには聞かせらんねぇ話だ」って頭をがしがし掻く。

ヴァイオレット:本当にさ、圭斗とウィルの過去に何があったの?(笑)。

GM:次回以降のお楽しみですかねぇ(悪い笑み)。

圭斗:「ま、ウィルには俺が報告しとくよ」って、ため息をつきながら煙草を吸おうとしてポケットを探すけど……そういや俺、ライター壊しちまったんだった。

ヴァイオレット:あ、それなら。「ねぇ、圭斗」

圭斗:「ん?」

ヴァイオレット:「これ、ボクからのお礼」って、金色の綺麗な装飾がされた蒸気式ライターを差し出す。

圭斗:まじか。さすがに少し面食らうわ。

ヴァイオレット:「今回はボクも迷惑かけたし、その、ありがとう」

圭斗:「……まさか、お前からプレゼントをもらうとはな」

ヴァイオレット:「それ、大事に使ってよね? 父様と母様の形見のひとつなんだから!」

圭斗:「わかってるよ」って、もらったライターで煙草に火をつけよう。

ヴァイオレット:「これからも、ボクの相棒として一緒にいてくれる?」

圭斗:そうだな……。煙草を吸って煙を吐くまでの間、少しだけ言葉を選ぶように考えて……「確認しなくてもわかるだろ。今の俺は……いや、こんな俺にでも、護れるものがあるなら、全力で護る。それだけだ」

ヴァイオレット:「いつか、あなたが抱えているものを教えてよ」

圭斗:「いつか、な」


 そう言ってヴァイオレットを見つめる圭斗の表情は、憂いとも哀しみとも取れない曖昧な影が差していました。

 まるで霧に溶けて消えていく煙草の煙と同じように不確かな、ぼんやりとした不安。

 蒸気の向こう側で烏が嘲るように鳴いた気がしました。


蒸気活劇RPG スチームパンカーズ 偽リプレイ風小説

「機械の檻で小鳥は囀る」

                                 〈了〉

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【蒸気活劇RPG スチームパンカーズ】デア・エクスマキナは蒸気活劇の夢を見るか?【全部私】 ソラ @nknt-knkt

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