にゅうめんマン最大の敵(9)
2人は渾身の力を込めた体当たりで真正面から激しくぶつかり合った。衝突の激しさを考えれば両者ノックアウトしてもおかしくはなかったが、実際には、多麻林だけが相手に突き飛ばされて転倒し、にゅうめんマンは、ぶつかり合った後も両の足で大地を踏まえて立っていた。にゅうめんマンの奥義「迷走自転車ひき逃げタックル」が多麻林の「暴走機関車殺人タックル」を打ち破ったのだ!
またしても地に倒れた多麻林は完全にグロッキー状態だった。ここまでくれば、にゅうめんマンの勝利は固いように見えた。――のだが、多麻林のしぶとさはにゅうめんマンの想像を超えていた。
「まだだ……まだ俺は負けていない」
数十秒ほど地面に横たわり、わずかながら体力を回復した多麻林は、どうにかこうにか起き上がったが、その足つきは見るからに頼りなかった。それから多麻林はにゅうめんマンに殴りかかったが、足払いをかけられてあっさり転んでしまった。
「いい加減に諦めたらどうだ。ちょっと往生際が悪いんじゃないか」
にゅうめんマンは言った。
「バカを言え。俺はまだやれる」
多麻林はこりもせずに立ち上がってもう一度攻撃をしかけたが、先程と同じく簡単にあしらわれてしまったのは、当然の結果だった。多麻林が地面に倒れるのは、これで何度目だろうか。もう相手に勝機はないとにゅうめんマンは思ったし、それももっともだったが、多麻林の目にはまだファイティングスピリットが宿っていた。何を思ったか多麻林はにゅうめんマンの方へはい寄り、最後の力を振り絞って、突如その足に飛びついた。
「うわ。何をするんだ。気味が悪い!」
にゅうめんマンが驚いて言った。
「もはや普通に戦って勝ち目がないのは俺にも分かる。だから最後の切り札を出すんだ」
「切り札?」
「これがその切り札だ!最終奥義 ひやむぎエクスプロージョン!!」
多麻林は自分の体に残っていたすべての霊力を解き放ち、にゅうめんマンを巻き込んでそれを爆発させた。「ひやむぎエクスプロージョン」は敵に大打撃を与える自爆的な大技であり、1回の戦闘で一度しか使えず、自分も無傷では済まない、まさに最後の手段だ。
だが、この技はリスクが大きすぎた。全霊力を失った上に自分も爆発を受けた多麻林は、技をくらったにゅうめんマンがどうなるかを見届ける前に、意識が遠のき、そのまま気を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます