にゅうめんマン最大の敵(8)
「くっ……」
多麻林は常人をはるかに超える体力を持っていた。だが、にゅうめんマンの放った奥義「ノスタルジック・イーストヨーロピアン・バイオハザード・アペリティフ」があまりにも強力だったので、この技をまともにくらって、多麻林でさえ無事では済まなかった。
「ここまで俺を追い詰めた人間はお前がはじめてだ。……そして、俺と戦う人間もお前がはじめてだ」
一方のにゅうめんマンもかなり消耗していたが多麻林ほどではなかった。つまり、激しい技の応酬を経て、戦局はにゅうめんマンの方に有利に傾いていた。
「ちくしょう!バイオハザード・アペリティフがなんぼのもんじゃい!」
思いがけず劣勢になった多麻林は、勢いに任せてにゅうめんマンに殴りかかった。だが、やはり体力の消耗が激しく、ひらりと攻撃をかわされた上に、カウンターのパンチまでもらってしまった。多麻林はとうとう地面にぶっ倒れた。
「その体力ではもはや戦えまい。観念しろ」
倒れた多麻林を見下ろして、にゅうめんマンが言った。だが、多麻林は不敵な笑みを浮かべて答えた。
「俺にはホーネット様から伝授された暗黒のエネルギーと、誰にも負けない強大なヒアムギティがある。多少体力が削れたって、まだ戦えるさ」
多麻林はゆらりと立ち上がり、おもむろに両腕をななめ上方に開いた。何のまねかと思ったら、エネルギーを高めるためのポーズであるらしい。多麻林の体の周りにどす黒いオーラが漂い始めた。
「これでもくらえ。奥義 暴走機関車殺人タックル!!」
衰弱していたはずの多麻林が、突然とんでもないスピードでにゅうめんマンに向かって突進した。
「ぐはっ!」
スピードがあまりに速かったと、意表を突かれたこともあり、にゅうめんマンはこれをよけられず、多麻林の猛烈なショルダーチャージをくらった。体重の軽いにゅうめんマンはおはじきのように弾き飛ばされ、今度はこちらがぶっ倒れる番だった。
一方、敵に全力の体当たりを見舞った多麻林は、息を切らしてその場に立ち尽くした。やはり体力が限界に来ているようだ。派手に吹っ飛ばすされたものの、その間に、にゅうめんマンはどうにか立ち上がることができた。
「ふらふらしていると思ったら、まだこんな攻撃力を残していたとは。敵ながら恐ろしいやつ。だが、シャカムニの加護を受けたこのにゅうめんマンは体当たり1発くらいじゃ倒せないぜ」
にゅうめんマンは言った。
「1発でダメなら2発目をお見舞いするまでだ」
そう言うやいなや、多麻林は再び両腕を広げてエネルギーを高め始めた。
「おもしろい。できるもんならやってみろ。俺の必殺技で返り討ちにしてやる」
にゅうめんマンも、雰囲気を出すために両腕を広げて、自らのニューメニティを目一杯高めた。
「くらえぇぇぇー!暴走機関車殺人タックル!!」
多麻林が2度目の体当たりを繰り出すと同時に、にゅうめんマンも、自慢の奥義で正面からそれにぶつかって行った。
「にゅうめんマン奥義 迷走自転車ひき逃げタックル!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます