にゅうめんマン最大の敵(7)
《相手は確かに強い。だが、俺も負けるわけにはいかない》
にゅうめんマンは思った
《俺は、全国一千万のにゅうめん大好きっ子を代表して戦っているんだ。もし、ここでひやむぎなんかに負けたら、にゅうめんこそ日本一のめん類だと信じて日々がんばっている子どもたちが、どんなにがっかりするだろう》
子どもたちが何をがんばっているのかは分からないが、「自分は全国のにゅうめんファンの期待を背負って戦っている」という強い自覚が、にゅうめんマンに力を与えた。どんなピンチのときも絶対あきらめないのが、にゅうめんマンのポリシーだ。にゅうめんマンは攻撃に転じ、得意のドロップキックを敵にしかけた。多麻林は腕を出してこれをブロックしたが、にゅうめんマンの全体重を乗せたドロップキックの勢いを支え切れず、後ろに倒れた。
このキックは先ほどのパンチよりはきいたようだったが、あいにく多麻林はすぐに立ち上がって体勢を立て直し、すぐさま反撃した。
「しぶといやつめ。これでもくらえ!」
多麻林は着物からひやむぎの乾麺の束を取り出して素早くほどき、にゅうめんマンに向かって投げつけた。
「奥義 ひやむぎニードル!」
数十本の乾麺が注射針のように、にゅうめんマンの体に突き刺さった。この奥義はかなり痛くはあったが、一時的な痛みしかなく、それどころか、にゅうめんマンの怒りを誘うことになってむしろ逆効果だった。
「食べ物を粗末にするなぁ!!」
ひやむぎを投げつけた多麻林の顔面に、にゅうめんマンの怒りの鉄拳が火を吹いた。
「ぐはぁっ!」
多少手加減して胸を殴った前のパンチとは異なり、本気で顔面を殴ったこの攻撃はそこそこききめがあった。
「いくらひやむぎが下等なめん類だからといって、食べ物を放り投げるような行いは許されない」
にゅうめんマンは言った。ひやむぎが下等かどうかはともかく、正論ではあった。
「下等だと。何度もひやむぎを侮辱したこと、ここで後悔させてやる」
多麻林は、にゅうめんマンが見たことのない奇妙な構えをとった。
「奥義その2 ひやむぎロケットパンチ!」
多麻林の攻撃はにゅうめんマンのうなじをとらえた。
「痛っ!こんにゃろう。やりやがったな。そっちがそうなら、こっちはこうだ。にゅうめんマン奥義 フィンガーミサイル!」
「痛たたたっ!ちょこざい攻撃を。これをくらってさっさとくたばれ。奥義 ひやむぎファイアーブレス!」
「なんのこれしき。にゅうめんマン奥義 時空歪曲エクスプロージョン!」
「奥義 ひやむぎ・センチメンタル・ブリザート!!」
「にゅうめんマン奥義 ノスタルジック・イーストヨーロピアン・バイオハザード・アペリティフ!!」
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