乙女のピンチ!(3)

「六地蔵ファイブ?」

「そのとおり。宗教法人六地蔵のエリート戦闘部隊だ。――みんな、前へ出ろ!」

 卦六臂が命令すると4人の坊主たちは数歩前へ出て整列した。

「左から、六地蔵ファイブ1号、2号、3号、4号だ」

 卦六臂はメンバーの紹介をした。紹介するほどの名前でもないが。

「お前がリーダーなのか」

 にゅうめんマンは卦六臂にたずねた。

「私はマスコットガールだ」

「なんでマスコットガールが戦闘員に指図してるんだよ」

「いいだろ別に。ともかく、今日こそはお前を倒してにゅうめんをいただく。――では男たちよ。後は任せた」

 そう言ってマスコットは後ろに退いた。4人の坊主たちは、にゅうめんマンとの戦いに備えて準備体操を始めた。


《こいつら本当に強いのかな……》

 にゅうめんマンは思った。にゅうめんマンに勝とうと思ったら少なくとも羽沙林よりは強い必要がある。目の前でのんきに体操している坊主たちにそれほどの強さがあるのだろうか。

「その顔、俺たちの実力を疑っているな」

 六地蔵ファイブ3号が言った。

「俺たちの身体能力をあなどるなよ。戦闘部隊になる前は全国大会優勝常連のスポーツチームだったんだ。そのときからこれまでずっと想像を絶する厳しい訓練に耐えてきた」

 実はこの5人は、他人にはとてもマネできないような過酷なトレーニングを続けて、とうとう社会人ゲートボールの全国制覇を成し遂げたアスリートたちだったのだ。


運動が終わると1号がにゅうめんマンに言った。

「戦う準備はいいか」

「ああ。いつでもかかって来い」

「ならばこちらから行くぞ!」

 話しているのももどかしいとばかりに、1号は猛烈な勢いでにゅうめんマンに殴りかかった。

「死ねぇぇー!にゅうめんマン!!」

「にゅうめんが手に入らなくなるから殺すなよ!」

 にゅうめんマンの死を心配した4号が1号に注意した。だが、その3秒後には1号はやられていたので、にゅうめんマンが死ぬ心配はなかった。


「よくも1号を3秒でやっつけてくれたな。次はこの俺が相手だ」

 1号がやられるやいなや2号が名乗りを上げ、すぐさまにゅうめんマンに躍りかかった。

「死ぬなぁぁー!にゅうめんマン!!」

「殺すなとは言ったけど、そのセリフもおかしいだろ!」

 4号は2号の不適切な発言を注意した。だが、その2秒後には2号はやられていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る