第7話

 ミツキが急に夜の11時に散歩がしたいと言い出した。僕もちょうどビールを買いに行きたかったので一緒に行くことにした。月は彼女に会ってからずっとナイフのように尖った三日月だった。


「少しそのベンチに座らない?」彼女が言った。


「美しい月ね」ベンチに座り月を見上げながら彼女は言った。


「ねえ、いつになったら僕に月を返してくれるんだい?」


「それは分からないわ。三日月は嫌い?」

僕はもミツキに何かを聞くのをやめることにした。彼女への質問は夢の中でする会話と同じくらい意味がない。


 ビール買ってくるから少し待っていてと彼女に言い僕はコンビニに行った。店内はとても明るく、客は僕しかいなかった。僕は缶ビールを2つ買い店を出た。


 ミツキの待つベンチに行くと彼女はさっきと同じ体勢で空を眺めていた。僕は彼女の隣に座り、同じように空を見て彼女が立つのを待った。10分ほどたってから彼女は帰ろうと言った。

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