第2話
僕がミツキと出会ったのは3日前の満月の夜だった。夜中に急に散歩したくなったので僕は歩いて10分程のコンビニに行くことにした。さすがの東京も深夜1時に歩いている人はいなかった。静かな満月に見つめられて僕はコンビニに入った。コンビニに入った瞬間に僕は財布を持ってきていないことに気がついた。やれやれ。僕は同じ道を満月を静かに見つめながら歩いた。
「こんばんは。美しい月だね」僕は月に話しかけられたのかと思いとても驚いた。月を褒めていることから月が話しかけていないことに気づいた。しかし僕の周りには誰もいなかったはずだ。振り返ると長い黒髪の女性が立っていた。
「こんばんは。確かに綺麗な月ですね」歳は24、5だろうか、僕より少し歳上だと思う。とても目が綺麗な女性だった。暗闇の方が彼女の目は美しいだろうと僕は思った。
「落し物を届けに来たの。あなたの家に連れて行ってくれない?」僕は断る理由を探したが何故か見つからなかった。
「別に良いですよ。落し物って何ですか?」
「月よ」
「月?」僕は月を見るために空を見上げた。夜空にはナイフのように尖った三日月が浮かんでいた。
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