しん しん と刻がすぎゆく

震度計の針は振れない

水深計も同様 動かない


月日ばかりが遷移してゆく

詩とはいったいなんなのだろう

つらつらと書き連ねているが

観察眼に欠けている

審美眼も拙いようだ


石英のつぶを掬って並べる

少しでも煌めくよう月の角度で

蓮の花弁のラインに沿って

目に映るものを記録してゆく

捏造でさえも純度をあげて


白日のもとに暴く

わたしのこの月の暦は

不協和音を生むことすらなく

電波に紛れてゆくのだろうが

電離圏には届くのだろうか


しん しん と刻がすぎゆく

つれづれに行を重ねた文字も

詩だと言うなら詩ではある


ルーペになにが入り込むのか

なにを届けられるかを

思案しながらまた編もう





20201129

第97回 詩コン『然』

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