融けよと頭を押してくる太陽は孤独で

力づくで仲間に引き入れようとするのだが

融ければなくなるのだから叶わぬままだ


惑星や衛星や彗星たちは遠巻きにかれを見ては

静かにささやきあうだけである

可哀想ねと

こうして常にひとりぼっちなのだった


太陽は今や目的を忘れ一心に乞い願うばかりで

噴きあがるプロミネンスをコロナで抑えても

苛烈な熱は地球を侵し始めている


過ぎる恵みは災いでしかないことや

相手や自身をも滅ぼすことに気づいていようが

上限のない温度の加減は難しいのだろう


融けあい ひとつになれたときには既にもう

いだくものがなにもない太陽はずっと孤独で

死ぬ瞬間まで焦がれ続けるに違いない


その熱い息と光は今日も降り注いでいる

揮発した汗は宇宙に届くだろうか

額を拭いながら青を振り仰ぐ酷暑の妄想




200819

第84回 詩コン 『暑』

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