モンハンオフ会の大事件
集まったメンバー。
私を入れて6人。
女2人、男4人。
場所は同僚君の部屋である。
当時、ゲームOKな場所は少なく、公園やカフェなど、モンハンをしている人で溢れていた。
問題は充電器の電源である。
各自、替えのバッテリーは持っていたが、やはり気兼ねなく充電してダラダラやりたいと言う感じの意見が出た。
同僚君の部屋はキングの部屋と同様、母屋より離れている。
多少騒いでも大丈夫だし、駐車スペースもある。
女性が一人いたが、まぁ大丈夫だろう。
シノの呼んだメンバーは、その女性ネイルさん20歳。
ネイルさんの彼氏、イチズ君22歳。
25歳になったシノ。
そして久々に会う、36歳になった巨漢ヒロである。
「うわー久しぶりだねぇ!」
「よろしく」
飼い主感、変わってないあなぁ!
紹介の為、同僚君を見ると……あ、既にシノと車の隣で盛り上がっている。
どのみち、モンハンの協力プレイは4人までである。
「先に始めましょうか!」
テーブルにつき、オンラインの場所へ入る。
ヒロが画面に現れる。
ネイルさんも入室。アバター男性なんだな。
あれ?
イチズ君が来ないな。
って言うかテーブルにいない。
振り返ると、部屋のソファでソロプレイしていた。
「行きませんか?」
「お構いなく……。俺、ソロプレイしかしない主義なんで!」
そ、そうなのか…。
なんでここにいるんだ……?
「それじゃ、3人で行きますか!」
「ネイルさんやってないクエスト多いですね…」
「埋めたいんですけど、1人では面倒で」
「出来る範囲でお付き合いしますよ」
ネイルさんは割とノリノリだな。
あれかなぁ。
やっぱり彼氏としては心配なんじゃないの?ソロプレイしかしないのに、ここに付いて来るくらいだし…。
「よし、しゅっぱーつ」
ゲームが始まりしばらく経つ。
そろそろ目当てのモンスターが出てくる頃である。
ネイルさんの側でドサッと音がする。
あ、イチズ君、ネイルさんの画面を真横でじっと見てる。
おいぃー、熱いなぁ!ヒューヒュー!
やがて、現れる大型モンスター。
自分たちの武器を見ると、ドラゴンのようなモンスターの尻尾切りは私の仕事だ。
画面から聞こえる呻き声。
『うわぁ!』
ヒロのアバターが吹っ飛んで行く。
『うっ!』
『うわぁ!』
………。
ここが現実なら、1番肉体的に有能なのは巨漢のヒロなのにな。
っと言うか、ヒロもう召されそうだぞ!?
ガバっ!とイチズ君、ネイルさんに食いつく。
「回復!」
「はい!」
「遅い!」
「ごめん!」
部活か?
とりあえず尻尾を切る。
これでモンスターが振り回した尻尾にヒロが当たることも無い。
ヒロはとにかくモンスターの頭を狙い、脳震盪を起こさせなければならない。
しかしタイミングがなかなか合わない。
「………………」
「………………!」
「!!?」
えぇっ!!?何っ!!?
かっ………カップル2人がヒロを睨んでるぞ!
ヒロ、気まずそう。
「罠張って!」
「セイユさん。捕獲で。その方が早いです!」
「う、うん、まぁ急ぎじゃないからぁ」
2人の戦績を見ると、ガチ勢ってわけでもなさそうだなぁ。
立ち回りはむしろ下手な方だろう。
ガチが1人2人いれば、仲間も死なずに終わるようなクエである。
指示厨なのかな?
時間はたっぷりあるし、タイムには拘らないんだけども………。
私まで気まずくなってきた!
早く来て、天使様!
「まーぜーて!」
大天使シノ!
待ってたよ!
「ネイルさん、イチズ君、ギルカ交換しましょう!」
ギルドカードは自分のプロフィールデータである。
あれ?
シノと2人はモンハン仲間じゃなかったのか?
あ、フロンティアで知り合ったとか………?
とにかく場が明るくなる!
ヒロも私も癒される。
同僚君についてはもう、シノにベッタリである。
純粋で人懐こいから、すぐに絆された。
5人で、ローテーション。
そろそろ深夜。
皆帰宅の準備が始まった。
ネイルさんとイチズ君は同じ車。
何か記述したい所だが、2人とはあまり喋らなかった。
ネイルさんとゲームの話はしたが、そもそも彼氏の影響で始めたらしい。会話が合わず。
イチズ君に関しては「俺、彼女いるんで。話しかけないでください!」とはっきり言われる始末。
もう、それ無言オフでいいだろ。
オンラインの無言部屋に行けばいいだろ。
2人を見送り、私も自分の車へ。
すると、シノが立ってた。
「あの!」
頭が真っ白になる。
私も子供じゃないから、分かるよ!
でも、まさかでしょ。
「付き合って下さいぃ!」
「……………」
もう声も出ない。
お前こないだなんて言った?
友達じゃねぇみたいな事言わなかった?
「俺とモンハンしてください!」
うわあぁ、あぁああああぁああ。
そう言う意味か。
『リア友とやればいいじゃないですか!』
アレはそう言う意味だったのか…。
オフ会じゃなく、自分とやれと。
一応、友達にカウントされてたんだな…。
いやいやいや、友達が告白すんなよ!
せっかく出来た友達が、もう友達じゃなくなる……。
「あの、考えて置いてください!返事ください!」
シノは一方的に言うと、ヒロの車に乗り帰っていった。
呆然と立ち尽くす。
あんな可愛かったシノが、完全に漢になっていた。
子犬のようだったのに!
ブルブルブル…………!!!!
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