オンラインの効能
オンライン。
いろんな人がいる。
今までオフ会でも会わなかった、北海道や沖縄等、全く違う土地の人間が一同に会している。
年齢も小学生から中年まで幅が広い。
最初は勝手が分からないため、掲示板やコミュニティで募集しているところを探す。
『〇月〇日の10時から3人募集。未成年不可。ボイスチャット可能。テキストチャット可。無言プレイ不可。レベルは〇〇以上の人』
こういった感じで募集しているのである。
参加申請をし、プレイステーション3を起動。
PS3をインターネットに繋ぐ。
回線をを通して、テレビ画面でチャットをし、ボイスチャットの場合は複数人と同時に話しながら、ゲームをPSPでやるというものである。
出会いに関して欲が無いため、このスタイルは自分に合っていた。
毎日新しい人間と出会い、共通の話題(ゲーム)があるため、話題には困らない。
ナンパもいないわけじゃないのだが、嫌ならすぐ通信を切れる。
相手がシクシク泣き出しても、出会い厨の温床でも、通信を切ればリセット。
気に入った人がいれば、フレンド登録をし、次の日もやる。
秋。
仕事を辞めた。
ハローワークに行ってるふりをしながら、オンラインの世界にのめり込む。
飯も満足に食わない。
私の私生活の変化に気付いたベートーヴェンが、猛烈に怒っていた。
「辞めろとは言わないけど、せめて昼間は散歩でもいいから外に出なさい!」
酒は一切飲まなくなった。
酔ってられない!私、ゲームしなくちゃ。
今思えば、一種の依存体質のようなものなのだろう。
このままじゃ、ゲーム廃人になってしまう。
しかし、この私の目を覚ましたのは………ストーカーの存在である。
PS3にはフレンド登録ってのがある。
登録すると、相手が何時間前にゲームしていたのか?
今何のゲームをやっているのか?
どのくらいやりこんでいるのか?
今PS3を起動しているかどうかが分かる。
オンラインで最初に行った部屋に中学生がいた。
他は高校生くらいで、会話についていけない。
しばらく大人しくしていた。
中学生はサクラと言う。
私が起動してオンライン画面に行く。
サクラは何処か知らないメンバーとやっているようだ。
私も決められたルームに入りゲームをする。
するとテレビの画面端で誰かのアイコンがヒョコヒョコ跳ねている。
アイコン名はサクラ。
「あぁ、誘いに来たのか…」
部屋を出てサクラとルームに入る。
うーん、こいつといても会話無いんだよなぁ。
彼は所謂寄生プレイをするタイプである。
大きいクエストを受注すると、一人素材集めなどをしており、一緒に戦わない。
あ、あれ?
協力プレイって何だっけ?
サクラはずっとペラペラ喋っている。
だが、彼は声がよく聞こえないのだ。
何かに潜って話してる?
そう言えば私は無職だけど、こいつは中学生だよな…。
今、平日の午前だぞ?
人の事言えないんだけどね。
どこにいても、サクラは私に付きまとってきた。
相手にしないとどこまでも探しに来る。
メールの山。
あれ、これ何かと似てるな…。
あ、ストーカーだわ…。
20歳のストーカー体験が頭を過ぎる。
や、辞めよう!
一旦、フレンド解除して、新しいアカウントを作成使用。
うーん、しかし、まだモンハンはやりたいし…。
よし、じゃあモンハンオフ会、主催しようではないか!
取り敢えず、遊ぶ金もないので就職。
拘束時間の短い職種に着いた。
「先生!ゲームは辞めれないので、仕事をします!」
ベートーヴェンは苦笑いで同意。
お分かりだろうか?
鬱でゲームをして引きこもり、躁になったので就職活動をはじめたのだ。
以前に比べたら、だいぶ一定になって来ている。
少なくとも、選挙演説の市長に文句を言いに行ったりしなくなったぞ!
あと一歩で人間。
オレサマ アト イッポデ ニンゲン
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