メンヘラオフ会1

 ボックス席に並んで座る。

 Mさんは、よく喋るタイプの人だった。

 薄手のシャツにミニスカート、ニーハイソックスにガーターベルト、サングラスに帽子。確かに黒いんだけど…なんかあれだな、予想よりオシャレな人が来たな。

 もっと、フケだらけで、三年もののスエットとか着てて、会話に困るような人が来ると勝手に想像していたもんだから驚いたよ。

 今考えると完全な偏見だな。


 私が「Mさん、全然メンヘラに見えないですね!(褒め言葉)」と言うと、Mさんは「ホントですかぁ?でも、私結構凄いですよ!(イライラ)」と答え、何かを取り出した。


 大量の薬とお薬手帳、他色々。


 まず、Mさんは障害手帳を提示し、メンヘラであることを強調。そして病名から薬の説明に入る。

 ちょっと待って、ここ電車なんだけど。


「この薬はふわふわしますねぇ!こっちはOD用ですねぇ、あ、オーバードーズの略ですよぉ。神木さん知ってます?」


「いえ、初めて知りました((キリッ」


 乗客見てる……皆んな見てるよMさん。

 話題を変えなければ。


「Mさんは市内のどこ住みですか?」


「無いです。家が。出身はここですけど、家族には家に入れて貰えないんで」


「えっと、家出?」


「ううん、出入り禁止!」


 自宅って、そんな居酒屋みたいなシステムあんのか。

 なかなか、複雑な家庭なんだろうなぁ。


「神木さんのスカート可愛い!ゴスロリっていうか、ゴスパンですかね!好きです!」


「二十歳過ぎてますが…どうしても好きで年甲斐もなく履いてます…」


「そんなこと無いですよ!私から見たら若いですもん!私、今年で38になりますよぉ?」


 ???


 どう見ても、23、4歳だけど。

 若作り?

 違う。虚言癖か。事あることに「えーっ!!?」って反応を欲しがってる。

 めんどくせぇー!

 なんにしてもキャラが濃い!!


 駅に付くと、もう一人の参加者が出迎えてくれた。

 十九歳コンビニ店員兼アパレル店員由佳さんである。


 髪の色スゲェ!


 由佳さんはパニック障害もちである。一番の常識人であったが、高校は中退したため、生活に不安があるようだ。

 ちなみに、MさんのMは服用している薬の頭文字と言う事で、自分から「Mと呼んで」と言う事であった。


 由佳さんに出会った頃にはなんだか、ぐったりだった。Mさんの勢いに狂気を感じる。由佳さんのあしらいは為になるなぁ。まさに接客業だ。

 えーと…………ん?

 これってオフ会だよね?


 待ち合わせ場所には二人の男性。

 男子大学生と男子高校生。

 高校生の診断はノイローゼだそうだ。

 大学生についてはピンと来る。こいつは出会い厨だ。メンヘラじゃない。


 他に二人来る予定だったが、連絡が付かなくなったため、五人で開催と言う事になった。

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