8話 とある乱入者

霜宮の水着を選んで疲れて帰った俺は家に着いた瞬間にある人から電話がかかってきた。

「もしもし〜?」

「あ!神島さ〜ん!お元気ですかぁー?それより私のこと知ってますかー?」

「ん?この声は...宗教勧誘かなんかですか?迷惑なのでやめてもらっていいですか?」

「おかしいでしょ!まず宗教勧誘する人は電話では無いですよ!家に来ますって!」

「そうとは限らないぞ?...というかあんたほんとに誰よ?」

「え?ほんとに知らないんですか?私ですよ!クラスで一番可愛いかもしれない私!

そう!林田 香織ですよ!」

知らねぇ〜

「知らねぇ〜」

「嘘!?前話したじゃないですか!?覚えてないんですか!!」

「え?話したことあるっけ?」

「ふふん。貴方もしかして私をからかってますね?あ!そうかそうか!私が貴方に対して敬語で話してるからそうなっちゃうのか!

というより初めて話した時からずっと敬語でしたよね!」

「いつ話したっけなぁー?」

「ほらほら!前に図書室の荷物運びの時に話したじゃないですか!」

「!!!」

思い出したぞ!そうだ!あいつか!あいつが林田香織か!

「なんですか?やっと思い出しましたか?」

「思い出した!お前たしか俺に荷物しか持たせなかったゴミだろ!」

「ゴミ...!ちょっとあなた!聞き捨てなりません!前言撤回しなさい!」

「うむゴミは酷かったな。悪い悪い」

「あらら。案外素直なんですね。まあいいでしょう。というか私は早く本題に入りたいんですよ!」

「あぁ。そうだったな悪い悪い。それで?なんだ?もう図書の手伝いは遠慮するぞ。」

「いやあなた図書委員でしょうに...

まあ図書の仕事では無いのでご安心を。

私はですねぇー。手伝ってくれたのでそのお礼をしようと思いましてあなたを明日デートに誘ってあげようと思いまして。モテなさそうなあなたを私が誘ってあげるんですよ?そんな嬉しいことないでしょう?」

....一言も二言も多いやつだな。

というか明日?明日はなんがあったっけ?

!!そうだった!霜宮と海に行くんじゃないか!即断らなければ!

「あー明日は無理だなすまねぇーというかお礼いらないから大丈夫だっての。困ってたら助ける。それは人として当たり前の行為だと思うけどな。」

「そうですか。神島さんにしてはいいこと言いますね。まあいいでしょう。

でも折角水着まで買って用意したのに。海に行こうと思ってたのになぁー。」

...こいつ今なんて言った?海だと?

いや海はこの世にどんくらいあると思ってやがる。ここは長崎県。海は多い訳では無いが結構あるぞ?

「一応聞くが、どこの海に行くんだ?」

「えーとですねー伊王島です!」

え?嘘やん?まさかのダブり?いや待てあいつは俺と行くと言ってたんだ。だったら明日は来ないだろ。

「まぁすまなかったな。でも明日お前行かないんだろ?」

「何言ってるんですか(笑)あなたと行けなかった時のために友達を誘ってるんです!可愛そうですね!神島さん!私の水着姿を1番間近で見られないなんて。」

「別に残念ではないさ。...それよりお前友達って何人と?」

「6人です。」


この時。僕は思いました。

明日見つかる可能性がほぼ100%だということを。

どうしよう。折角霜宮は今日あんな楽しそうに水着買ってたんだ。

それなのに今日霜宮が帰ってから「やっぱ無理だわー」

なんて言ったらどうなる事やら。

まだ霜宮はスーパーに寄るって言ってたから帰ってきてないが。帰ってくる前に考えねば!

ガチャリ。

(帰ってきやがった!)

あら神島さん?こんな所で何をしているのですか?もしかしてこの前のように私に襲いかかる気だったんですか?」

「襲うわけねぇーだろ!そもそもこの前のってなんだよ!喋んな!」

やばい。言いにくくなった。

...こうなったらやっぱり行くしかないな。でも一言言っといた方がいいよな。

「なあ霜宮。明日海行くだろ?伊王島。

場所変えない?」

「え?何故ですか?」

やっぱりそう聞くよなぁー。

「いや。なんかクラスメイトとか明日来そうじゃん?もし俺たちの姿が他のクラスメイトとかに見られたらやばいだろ?」

「別に私は構いません。私はあなたと海に行きたいのです。もしそこでクラスメイトに見つかったら〜とか言うのであれば私は泣きます。

私はあなたと行きたいのです。」

「霜宮。 すまなかった。そうだよな!だから買ったんだよな!終業式から言ってたもんな!俺が悪かった。忘れてくれ。」

「はい。忘れることにします。では切り替えてご飯作りますね。」


この時なぜ俺の心臓は早鐘を鳴らしていたのかは俺でも理解が出来なかった。


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