第21話 初報酬
買い物が全て終わり、ニューアタルになった
髪はさっぱりして前まで目にかかってた前髪はバッサリ切られ視界良好・・・無精髭も全部剃られてツルッツル・・・服はゴテゴテしたのを選ばれそうになったが、頑なに拒んで動きやすい服に・・・靴も買い、総額200ゴールド近くかかってしまった・・・日本円にして2万が高いのか安いのか分からないが・・・多分こっちの世界だと高いのだろうな・・・
機嫌が完全に良くなったシーナは残ったお金を使い2人でランチ・・・完全にデート的な感じになってるが、これでシーナの機嫌が良くなるなら安いものか・・・俺の金じゃないけどな
ランチはサンドイッチ・・・動物や植物とか日本とさして変わらないから、出てくる食事も変わらないのかな?・・・同じような食事が出てくるとここが本当に異世界なのかと疑問に思う事がある
まあ、食べれないものが出てくるより全然良いのだが、少し期待外れだ
食べながらシーナと色々話し、食べ終わるとギルドへと向かった
初依頼は遅れて罰金が発生したり、変なのが紛れたりと散々だったけど、報酬を貰うとなるとドキドキするな・・・
ギルドの扉を開け、シーナと共に中へ・・・別に注目されている訳ではないが、人が向ける視線が痛い・・・自意識過剰になっとる・・・
カチコチになりながら受付に行くと今日はいつもの受付嬢・・・日暮れまでなら日暮れまでと説明してくれよ!って言いたくもなったが、こちらの世界では常識なんだろうな・・・
「どのようなご要件でしょうか?」
「あの・・・昨日の討伐報酬を・・・」
「ギルドカードの提示をお願いします・・・少々お待ち下さい」
淡々と事務的に処理される・・・こっちはワクワクドキドキしてるんだからもう少し『おめでとうございます!初討伐ですね♪お祝いに私と今晩・・・どう?』とか言わんかい!・・・と無駄な妄想していたら昨日の職員登場・・・なんだろ?もしかして何かあったのか?
「お待たせしました。アタルさん、こちらへ」
何か都合が悪い事があったのか、別室へと案内される。実は落とし穴が見つからなくて・・・とか?
「昨夜は失礼しました。私はギルド職員のサテートと申します。昨夜教えて頂いた穴を調べさせてもらった所、アタルさんの言う通り『土狼』14匹、『土魔狼』1匹の死骸がありました。ギルドの方で運び出し昨日の内に全ての処理は完了しましたので・・・ありがとうございます」
「い、いえ・・・」
「ところで巣窟内に更に地下へと掘り下げられた場所をご存知でしたか?」
「は、はい・・・最初落ちた時にその穴に横穴があって、そこで犬・・・『土狼』から身を隠したので・・・」
「横穴・・・それはどこまで通じていましたか?」
「確か3mほど・・・それが何か?」
「いえ・・・では縦穴の方はどこまで続いているかお分かりになりますか?」
「かなり深いって事は・・・穴に『土狼』が落ちていったのですが、下に落ち切った音などしなかったので・・・」
「なるほど・・・ありがとうございます。それだけ聞ければ充分です。では、報酬の話に移らさせて頂きます。今回残念ながら依頼期限を過ぎてしまってまして、それを覆す事は出来ません・・・なので本来の報酬の半値になりますが宜しいでしょうか?」
「は、はい」
「ありがとうございます。では・・・まず『土狼』・・・本来は1匹につき300ゴールドですので、半値の150ゴールド・・・討伐数は14匹でしたが、そこから遅延罰則金である150ゴールドを賄う為に1匹減算しまして・・・トータル13匹。なので1950ゴールドとなります」
・・・日本円にして・・・19万!?・・・おぉ・・・一気に金持ちや
「更に今回は『土魔狼』が1匹・・・正規の依頼はありませんので、過去の依頼に照らし合わせますと1匹1000ゴールド・・・半値なので500ゴールドとなります」
・・・巨大犬っころで5万円・・・そう言えば依頼は『土狼』だから、今回間に合ったとしても5万円だった訳か・・・念動力が無ければあっさり殺されてただろうし、妥当・・・なのかな?
「それと巣窟の場所提供、死骸の状態も非常に良く、鮮度も良い状態であった為に・・・討伐報酬と合わせて5000ゴールドでどうでしょうか?」
ほーん、5000ゴールドね・・・うん?5000!?つまりえーと・・・50万円って事!?
どうって言われても金の価値がいまいちよく分からんのだが・・・えっと数日かかるゴブリン討伐が400ゴールドだったよな?4等分で1人100ゴールドだし・・・でも今日の午前中の買い物で約200ゴールドかかってるから・・・うーん・・・
「す、すごいよアタルさん・・・300ゴールドが一般的な月収だから、その10倍以上を・・・」
どっかの漫画のタイトルみたいに言わんで。てか、月300ゴールドなんか・・・うん?つまり午前中だけで月の3分の2の金額を使ったって事!?
「なんかあのお金・・・残したくなかったし・・・」
実は浪費家!?
「・・・如何致しましょう?持ち帰った死骸をお渡ししてアタルさん本人が商人と交渉しても構いませんが・・・その際は昨日の運搬料は差し引かせて頂いて・・・」
「いや、結構です!その5000ゴールドで!」
ツテもないのに無理だろ!死骸持って町中出歩くか?普通・・・この人分かってて言ってんな
「では準備致しますのでお待ち下さい」
サテートは言うと部屋を出て行った。5000ゴールドか・・・金欠から一気にお金持ち・・・しかも平均年収より上の金額・・・ぐふふふ・・・あれ?・・・5000ゴールドって・・・
「シーナ・・・1000ゴールド札ってある?」
「?札?どういう意味?」
「いや、ほら・・・5000ともなると重いって言うか・・・持ち運びに不便って言うか・・・だからこれ1枚で1000ゴールドの価値があります!みたいな紙幣と言うか・・・」
「1万ゴールドは白金金貨と同等だけど・・・1000ゴールドはないかな」
ガーン・・・100ゴールドも結構ズッシリだった気が・・・その50倍・・・持ち運び出来ないだろ!?何?台車でも使って町中歩けって言うの!?
「お待たせ致しました。表に馬車を用意しております。ご希望の場所にお運び致しますが、教会でよろしかったでしょうか?」
おお!?さすがデキる男風のサテート・・・抜かりはないな・・・でも、なぜ教会に住んでるって知ってんだろ・・・ギルド登録の時の保証人がハムナだから?
「はい・・・俺も馬車に乗った方が?」
「いえ・・・こちらで届けておきますので・・・それにアタルさんをお待ちしている方がギルドに来られてますよ?」
「俺を?」
誰だろ・・・そしてシーナ・・・なぜ俺を睨む・・・
サテートに5000ゴールドは頼んで、俺とシーナは部屋を出た。この町の知り合いと言えば・・・シーナは横に居るし、ハナム夫婦は来ないだろう・・・テムラ・・・ありそう・・・レギン・・・だったら嫌だな
ビクビクしながら戻ると中央でどっしり構えて俺を見て思いっきり手を振る人物・・・ハア・・・そういえば忘れてた
「アタル!たかりに来たぞ!」
自分でたかり言うな・・・このクソジジイのダルス
「まだ日も暮れてないぞ?」
「なんだ朝まで飲む気か?俺はそれでも一向に構わんが」
どんだけ長い時間拘束する気だよ!?
「嬢ちゃんは確か・・・ハナムの所の・・・隊員がだいぶ世話になってるみたいだな!感謝する!」
「あんたは世話になってねえのか?」
「俺の肉体に傷付ける事が出来る魔物がいると思うか?」
「・・・いるんじゃねえの?」
「うむ!いるだろうな!運良くそんな魔物に当たっとらんわ!」
「・・・あっそ・・・じゃっ!」
そそくさと逃げようとすると、襟を掴まれた・・・くっ、どんだけ馬鹿力だよ・・・片腕1本で軽々と・・・
「待てい!随分と身綺麗になりおって・・・余程報酬が良かったみたいだな・・・それもそうか『土魔狼』を倒したのだからな!」
これは報酬とは関係ない・・・そう言おうとしたが、ダルスの言葉にギルドに居た連中がざわめく・・・もしかして『土魔狼』って結構レア?上位種とか言ってたし・・・
「『土魔狼』をどうやって討伐したか・・・聞きとうて聞きとうて夜も眠れんかったわい!」
「・・・討伐したのいつ聞いた?」
「今日の朝だ!」
「眠れなかったの関係ねえじゃねえか!」
「・・・確かに!しかも思い返せば快眠だったわい!」
ジジイ!・・・疲れた・・・しかし、どう討伐したかか・・・どう話そう・・・
「嬢ちゃんも来るだろう?何せ『土魔狼』を倒せたのも半分は俺・・・半分は嬢ちゃんのお陰みたいなものだ!」
「え?私?・・・私は何も・・・」
「男はな・・・惚れた女の為なら何でも出来る!少し前に死にそうなツラしてた奴がここまで変わるには惚れた女が出来た証拠!俺の娘を断るくらいだ・・・どんな相手かと思ったら・・・嬢ちゃんなら・・・まあ、五分五分って所だな」
おおい!シーナとアマゾネスを一緒にすんじゃねえ!見た事ないけど。てか、俺がシーナに惚れてるって・・・何でそうなる!?いや、可愛いとは思うけど・・・俺には高嶺の花って言うか・・・
「えっ!?ええ!?・・・いや、アタルさんがそんな・・・」
「なんだ?まだ告白してなかったか?早く告白して抱いちまえ・・・そしたら更にお前は強くなれる!」
このジジイだけは!!驚き顔だった周りもニヤニヤし始めたし、シーナは何故かってクネクネしてるし・・・何なのこの羞恥プレイは!
「・・・その話はゆっくりと店で・・・で、どこの店に?」
「金楼館」
「じゃあ、その金楼館にさっさと・・・え?」
『土魔狼』の時より更にザワつく周囲の野次馬達・・・え?なになに?
「わ、私・・・家に一旦戻って・・・いやでも、そんな服・・・」
「その服装で構わねえ・・・貸切にしてる。それと後から2人ほど来るが気にするな・・・ほら、ぼーっとしてねえで行くぞ!」
もしかして高級店!?ドレスコード有りな・・・あっ、金・・・
「ちょっと教会まで金を取りに・・・」
「あん?気にすんな・・・誰が払うか決まってねえ・・・俺とお前・・・嬢ちゃんじゃない事は確かだがな」
ニヤリと笑ったダルスは俺とシーナを強引に連れて行く
果たして『金楼館』ってどんだけ高級店なんだろう・・・てか、金はなくても本当にいいのだろうか・・・言い知れぬ不安を感じながらダルスと共に俺達は金楼館を目指して歩き始めた・・・
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