第3話 僕と彼女

 今日は彼女が家に泊まりに来る日だ。張り切ってお洒落をした。


 殺害欲はこの前の殺人で身体が満足しているので、今日明日は大丈夫だろう。


 ……しかし頭の激痛は今日の朝も僕を襲った。僕は少し憂鬱になる。

 

 やっぱり病院に行ったほうが……


 いや、気を取り直そう。せっかく彼女が来るのだ。


 僕はむりやりテンションを上げて、待ち合わせ場所に向かった。


 彼女は僕を見つけると手を振りながら走ってきた。


 それを見て思う。

 

 こんな可愛い彼女。あぁ、やっぱり僕は幸せ者だ。


「お待たせ〜待った?」


 と聞く彼女に僕は答える。


「全然だよ」


 それから二人で僕の家に向かった。


「それで、私ケーキ買ってきたんだ〜家に着いたら食べよ〜!あ、あとねこれ見て見て!私、新しいスマホケース買ったんだ。可愛いでしょ?」


 彼女はよく喋る子だ。


 僕は大抵いつも聞き専に徹していた。


 それからも他愛もないことを話していると、前から突然冷たい風が吹いてきた。


 風は彼女の焦げ茶の髪とワンピースを踊らせた。


 彼女が言う。


「今日は風が冷たいね。雨、降りそうだし」


「天気予報で夜中に大雨が降るって言っていた気がするよ。昼時は大丈夫だけどな」


 そうこう話しているうちに僕達はアパートに着いた。必死の片付けのお陰で、部屋はかなり綺麗になっていた。


「コーヒーでも入れるからそこらへんに座ってて」


「ありがとう」


 彼女はコーヒーが好きだ。しかもブラック。女性でコーヒーのブラック好きなんて珍しい気がする。

 

 それから僕達は話したり、テレビを見たりと色々とした。そしてあっという間に夜になった。外は暗く、天気予報通りの大雨が降っていた。

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