第7話【俺のギルティは色々な能力が使えるみたいです④】

「はわっ・・・はわわっ・・・」


ヴァルキリーを目の前にしてへっぴり腰のノアは無言で頭を下げ食べかけのひよこをヴァルキリーに差し出そうとしている。舎弟感情丸出しなノアに流石のヴァルキリーも不憫と思ったのか、「べ、別にいじめるわけじゃないんですから・・・」とタジタジとしている様子だ。


「けどぉ・・・! こうでもしないとぉ・・・! 私絶対今から痛いことされるじゃないですかぁ・・・!」


「そ、そんなこと言われても・・・」


ヴァルキリー、かのんをチラ見。かのんは指でファックのポーズを。血も涙もないとはこのことだな。と思った。


主人の命令が出たのだからヴァルキリーもすぐにでもノアをぶん殴るなり蹴るならすればいいのに流石は女神戦士故か、泣きじゃくるノアに泣き止むように説得を続けていた。側から見れば迷子の子供と大人にしか見えない。


「だ、だから一度泣き止んでください・・・」



ヴァルキリーに対しノアは食べかけのひよこを渡すと。


「こ、これあげるから許してくださいぃぃ・・・」


「い、要りませんけど・・・」


ヴァルキリー、ドン引き。


「じゃあ、せめて最後の晩餐に食べていいですかぁぁぁあ・・・?」


「ど、どうぞ・・・好きなだけ食べたらいいんじゃないですか・・・」



ノアはひよこの肉を頬張りながら。


「おいじぃぃい・・・」


俺は情けなくなり泣いてしまった。こんな気持ち幼稚園の頃に母ちゃんがパジャマで学校に忘れ物を持ってきた時以来だ。穴があったら入りたい。というより、穴になりたい。


ってそれより。


「ーーもう何でもいいから早くスキル使えや!! ほら、早く早く早く早く!!!!」


俺があまりに急かしたからかノアは「ぬぁぁぁぁ!!!!」と頭皮を掻きむしるとスキルを発動しようとしているのか身体から光を放っていた。なんか昔動物ってストレスが溜まりすぎたら自分の毛をむしるんだよー。って友達が言ってたのを思い出した。正に今のノアはそれだった。


「! 何・・・この気配っ・・・!」


ゾクっと寒気がした。この感じもしかしてスキル発動の瞬間か? よしよしよし! かのんもビビってるし、このままいてこましたれ!ノア! お前のウルトラスーパーめちゃんこすごい完璧ハイパースキルで!


「よーし!行くぞ、ノア! お前の真の力を見せてやれ!!!!」


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