第40話 思い出す
今日のカラオケ店で会った小野寺隼人という男を思い出すと妙にムカッとする。
初対面なのにあの態度。俺と中西の間で起こったことを何も知らないくせに。
中西も中西だ。勝手に俺と喧嘩した理由を小野寺に話すとは。
まあそれほど親しく、相談しやすい相手だったのだろう。
それなら何でいじめられている時、小野寺に助けを求めなかったのだろう。
あれだけ親しい中なら相談くらい出来たはずだ。それとも親しい中として迷惑をかけたくなかったのか。
まあどれだけ考えても何も思いつかない。
俺はベッドから立ち上がり一階のリビングに足を運ぶ。
ちょっと喉が渇きお茶を飲みたくなった。
リビングに着くと冷蔵庫を開けお茶を取り出す。
それをコップに注ぎ口から体内に流し込む。
全く喉がカラカラの時のお茶は最高だ。
一杯お茶を飲み満足したところで俺は再び自分の部屋に戻った。
部屋に戻りスマホを手に取ると一軒の通知が来ていることに気づく。
差出人は中西だ。
『今日、小野寺君と何を話したんですか?』
「何でそんなことが気になるんだ......」
俺はそんな独り言を呟きスマホに文字を入力していく。
『お前には関係ないだろ』
すると数秒でメールが返ってきた。
『関係なくないです! 何か私のことでもめていたようですし』
中西の言っていることはあながち間違えではない。
しかし一方的に問いただしてきて、俺だって気になることはある。
『そんなことより何で小野寺って奴に俺とお前の喧嘩のことを話したんだ』
何故中西は話したのか。小野寺とどれだけ親しいのか。それとも小野寺以外に相談出来る相手がいなかったのか。
『それについては直接話したいです。明日学校が終わったら龍星さんの学校に行きます』
「は、はあ⁉」
俺の声が部屋中に響き渡った。
『何でだよ』
俺がそんなメールを送ったが中西から返事が返って来ることはなかった。
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