第10話 ここでは卵は、衝突しない模様。だが・・・

 最近、倉敷駅前の商店街内にある老舗のカレー店「神戸屋」に行くことがよくある。実は、今日、久々に行ってみた。


 ここには、カレー店ではよくある話だが、ハヤシライスも、あります。

 そこまでは、まあ、いつものこと。

 だが、ちょっと、面白いことを発見した。


 実は今日、私は、カツカレーのハヤシライスバージョンを食べたのよ。

 カレーのときはいつも激辛だけど、時に、ハヤシライスの食べたくなるの。

 それは、まあ、ええとして、問題は、その「商品名」。

 この商品、普通なら、「カツカレー」に対抗して、「カツハヤシ」と、なるはず。現に、「カツハヤシ」と名乗っていて、それが名物の店も、全国にはいくつかあると思われる。

 だが、ここは、ちょっと、違うのよね。


 その名はズバリ、「ハヤシカツ」!

 結構分厚いトンカツが、ハヤシのルーとライスの間に、「割って」入っているのよね。


 さらに良く見てみると、こんなのもあった。

 その名もナント、「ハヤシバーグ」!

 ハンバーグじゃなく、ハヤシバーグ!

 ハンバーグカレーも、この店にはもちろん、ありますとも。

 だから、「ハンバーグハヤシ」があっても、おかしくはない。


 だ、だが・・・

 改めてネット上に出ているメニューの写真を見て、私は、びっくりした。

 な、な、なんと!

 その名もナント、「ハヤシバーグ」では、ありませんか!

 ハヤシカツもハヤシバーグもそうだけど、カレーのときとは逆転しているこのネーミングスタイルに気付いて、またまた、びっくり!


 ところで、ここのカレーやハヤシには、少なくとも、生卵が衝突することは、どうやら、なさそう。

 少なくとも、メインメニューの中には、そんなのは、ない。

 トッピングのメニューは、この店であまり見た覚えがないから、そこまで確認すれば、卵カレー、卵ハヤシも、出来るのかも、知れん。

 改めてメニューの写真を見てみたら、確かに、生もしくはゆでで、出来ることが確認された。だけど、それでメインメニューというのは、なんか力弱い感じがする。

 カレータマゴ?

 何やねん、その卵(苦笑)。「カレーライス」感が、あまりにないぞ、これでは。

 ハヤシタマゴ?

 これまたやっぱ、無理があるように思うぜ。


 それはともあれ、ここでは通常、カレーライスやハヤシライスに卵が衝突することは、少なくとも生卵や温泉卵に関しては、ないようだ。そういうトッピングをしている人は、少なくとも私が来店した際には、見かけたためしがない。

 でも、やっぱり、卵とカレーが衝突しないわけでは、ない。


 オムカレー。


 これなら、ある。

 その下を見てみるとなんと、こんなのも、あった。


 オムハヤシ。


 こうなるとしかし、オムライスのデミグラスソースかけんバージョンという気がしなくもない。

 ともあれ、こればっかりはさすがに、「ハヤシオム」では、ない模様。


 一体なぜこんなことになっているのか、少し考えてみた。

 その結果、こんなことが言えるのではないかと、一つの仮説を思いついた。


 トンカツやハンバーグは、おかずとしてもかなり重い性質のものだから、ハヤシライスの後ろに潜り込ませることで、ハヤシライスを強調させている。

 しかし、卵というのは、いくらオムレツ状態とはいえ、単にご飯にかかるだけでは、おかずと言い切れるほどの重さが、ない。そこでこちらは、通常通り、オムハヤシということで、「ハヤシオム」としてオムレツをハヤシライスでつぶしてしまうようなイメージを払しょくさせるべく、このような名称になっているのではないか。


 ことばって、おもしろい。

 そんなことを、あらためて痛感した1日でした。

 

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