大いなるクトゥルフ
外宇宙から地球に飛来した種族の長たちを旧支配者と呼ぶ。
外側の世界の種族は人類から見れば、神々としか思えないような強力なリーダーである旧支配者に隷属していた。
太古のある時期に、我々の宇宙に及ぶ外宇宙の影響が弱まる。
この変化は旧支配者たちに仮死状態を強いて、地球の支配を休止させた。
この慈悲深い差配は、人類に束の間の繁栄の享受を許す。
旧支配者はそんな休眠期の中でも、夢や眷属を介して人間に影響を及ぼし続ける。
ある者は邪悪さや凶暴さを増幅され社会秩序の敵となり、ある者は恐怖と混乱に翻弄された挙句に異常者として正義を標榜する輩に排斥される。
どの道、その影響は精神を破壊する。
心は病み蝕まれ、人として正気を保つことを困難にする。
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その旧支配者の中でも人類に対して最も強い影響力を誇るのが『大いなるクトゥルフ』だ。
伝えられているクトゥルフの姿は。
頭足類に似た6眼の頭部から顎髭のような無数の触手が生えている。
手足には水掻きと巨大な鉤爪があり、二足歩行。
鱗と瘤に覆われた緑色の身体は数百メートルはある度を起こした巨体で、背中からは蝙蝠のような翼が備わっている。
クトゥルフが飛来した当初からその頭部が、巨大な頭足類に類似したものだったのか、海底に鎮座せしめて環境に合わせ自ら模したのか、影響が精神に及んだ人類の悪夢の中だけに知覚されるイメージなのかは判らない。
ただ彼の旧支配者が、休眠期に深海に沈んだ都市ルルイエに留まったことで、その眷属は水棲能力を会得する必要が生じたのは確かだろう。
大いなるクトゥルフとは比べようもない縮小サイズ版だが、人類にとっては巨大な姿の『落とし子』たち
悍しい人型の水棲生物で人間との間に混血をもうける『深きもの』ども
それらルルイエや他の海底都市を棲家としてクトゥルフの目覚めを待ちわびる眷属たちは、海岸付近にも幾つか拠点を築き活動している。
中でも、深きものどもは人間との間に子を成す性質が備わっているため人間社会にも侵食していた。
そのような眷属の中の一柱に、ヒュドラと呼ばれる神性の存在がいる。
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