第50話 いざ、会議室へ
12時20分頃。板宿中高鉄研OBの大学生、上本健太君が来た。
彼も、アイスコーヒーを頼んだ。聞くと、今日は青春18きっぷで来たそうな。少し早めに来て、宇野線や吉備線に乗ったり、津山線の法界院駅や山陽本線の西川原駅などを回ったりしていたそう。今晩はどうするのかというと、米河さんに紹介していただいた駅前のサウナに泊まります、とのこと。先ほどチェックインして、軽く入浴して来たそうだ。
ちなみに彼は、今回初めてサウナのあるカプセルホテルに泊まるのだという。明日はまた、青春18きっぷであちこち乗って、神戸の自宅に戻る予定だとか。
彼は早速、マニア氏に向かって近況報告を始めた。はーちゃんは上本君をちらちらと見つめているが、上本君は、今日行ってきた先の感想をマニア氏に述べるのに精一杯。
「上本君、うちに泊めてやったらよかったな。萌美も、はーちゃんもいるし・・・」
たまきちゃんの髪をこっそりとかき分けて、耳打ちした。
「こら! 太郎君、変なことをあおらないの!」
彼女の髪をかき分けた手を、軽くはたかれた。とはいうものの、彼女とて本気で怒っているわけでもない。
手をはたきつつも、美熟女さん、ぼくの目を見てニヤッと笑った。
携帯電話が鳴った。
カメラマンの沖原さんが、もう20分ほどで着くという。今ちょうど、新幹線に乗って向かっているとのこと。12時30分ごろには、会場に入れるだろう。まずは1階のラウンジをのぞいてください、来られたらすぐ、会場に向かいますから、と伝えた。沖原さんは、新幹線で駅弁を食べてこられるそう。ぼくらも、他の皆さんも食事は済まされているので、少し早めに始めてもいいかもしれないな。沖原さんは、12時30分を少し回ったころ、1回のラウンジに来られた。先ほどの東京方面からの「のぞみ」に乗って来たとのこと。せっかく来たので、今日はホテルの窓から、明日は吉井川近辺のスポットで、新幹線を撮影されるとのこと。
これ以上、この場では難なので、会場となる3階の会議室にそろって移動した。
まだ始めるわけではないので、誰ともなく固まって雑談会。
上田さんと沖原さんは、お互い名前は知っていても、今回が初対面。近いうちに仕事でご一緒したいですね、と、お互いにそれぞれの業種の人たちの話をし始めた。小耳にはさんだ中には、ぼくが知っている人の名前もあった。マニア氏はというと、この数か月来の鉄道ピクトリアルを持ってきていて、それに目を通している。
はーちゃんと上本君は、大学は違うが同級生。どちらも浪人などはしていないから、まったくの同じ年だ。どちらとも違う場所で面識のあったマニア氏に促され、二人はあいさつし、お互いの大学のことなどを話している。はーちゃんにアシスタントを頼んでいるのだが、事情を聞いた上本君も、できることは手伝いますと言ってくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます