十一話 一狩り行こうぜ!

我が家の諸事情あって投稿遅れました、すみませんm(_ _)m


――――――――――――――――――――


「ん? 何だいお嬢ちゃん、そこを退きな。退かないならお嬢ちゃんから殺すよ? さっきは殺さないって言ったから調子に乗ってるのかなぁ?」


「レミリア、そこを退くんだ! 君が勝てる相手じゃない!!」


「クラウ様、相手が強いのは承知の上です。ですが、ここで退いてはユウノスケさんとお義兄さん、クラウ様とソフィー様に合わせる顔がありません!!」




 クラウディアとジャネットの間に入ったのはレミリアだった。レミリアはバックラーとレイピアをしまい、手には鞭だけを持ってジャネットと対峙する。




「私だって、ユウノスケさん達と出会ってから毎日訓練して戦えるようになったんです。蹴り一発で退場したら今までの訓練の意味がなくなりますし……」


「ますしぃ?」


「お義兄さんにますますシバかれます!!」


「……ぷっ、あっはははは♪」




 レミリアが闘志を燃やしているのは良い事だが、斬波のトレーニングがキツいのか彼女がそんな事を言うとジャネットは腹を抱えて笑った。




「お嬢ちゃんはまだまだアマちゃんだけど、いい師匠に教えられてんのは見てわかる。くくく……そりゃぁっ!!」


「はあぁっ!!」




―ヒュン、バシィッ!―


―カン! ヒュン、ヒュンッ!―




 レミリアの鞭とジャネットの鉤爪がぶつかる音は苛烈だった。スピードもパワーもジャネットの方が上だが、レミリアは【鞭打術】のスキルでそれをカバー、鞭のしなりを活かしてジャネットに喰らいつく。




「リーチじゃ不利だけど……」




―シュバッ!―




「なっ!?」


「この距離ならどうかしらねぇ!?」




―ビュンッ! ガキィイン!!―




「チッ……」


「私がいる事忘れないでもらおうか……」




 ジャネットは持ち前の経験値と戦闘技術でレミリアの鞭を掻い潜って彼女の懐に侵入し、鉤爪で一撃を入れようとしたらクラウディアに止められた。


 舌打ちするジャネットと冷静に睨みを利かせるクラウディアは、そのまま鍔迫り合いの状態に入るがレミリアが隙ありと言わんばかりにジャネットに向かって魔法を放った。




「【火球ファイヤーボール】!!」


「何ッ、ぐぁあっ!?」




 レミリアの【火球】はジャネットに見事命中し、彼女は火だるまになって転げ回った。しかし、それだけではジャネットはダウンせず身体中から煙を上げながら起き上がる。




「はぁ……はぁ……、蒼い【火球】だと!?馬鹿な! 蒼い炎は熟練の魔法使いの証、それをこんな小娘が使えるなんてありえない!!」


「私も驚いたぞ、蒼い火魔法は初めて見た……」


「お義兄さんが教えてくれました、『”酸素”をお勉強すれば蒼い炎なんて誰でも出せる』って……」


「「さん……そ…………?」」


「私達の生命維持に必要なものであり、扱いを間違えると毒にもなり、火の威力を強くできる物質だそうです! 【炎弾ファイヤーバレット】!!」




 レミリアは青い火魔法に驚くクラウディアとジャネットを横目に、次々と魔法をジャネットに目掛けて発動していく。


 ジャネットは咄嗟に側転やバク転、バク宙などアクロバティックな動作でレミリアの魔法を避けながら二人と距離を取る。




(中距離は小娘の鞭、近距離は近衛騎士の剣、二人共魔法は人並みより強いようだねぇ……)


「だんだん面白くなってきたじゃないか、今日は久々に楽しめそうだねぇ!!」


「熱くなっているところ悪いが、こちらは楽しんでる余裕はない。早々に決着を付けさせてもらうぞ!!」


「クラウ様の言うとおりです! 行きますよ!!」






――――――――――――――――――――






 レミリアとクラウディアペアがジャネットと戦っている一方、二頭のワームドラゴンとそれぞれ一対一で戦っている優之介と斬波は……。




「せいッ! うぉおりゃああっ!!」




―ザンッ、ザシュッ!!―




「グァゥッ!?」


(お腹の鱗はさほど固くない、魔力で剣を強化すればなんとか斬れそうだ)




 苦戦を強いられているかと思えばそうでもなかった。むしろ善戦しているくらいだ。


 ワームドラゴンの動きを読み、予備動作に合わせてブレスや噛み付き攻撃を避けてからカウンターを仕掛ける戦法で順調に戦えていた。




「なんかスムーズに戦えてるなと思ったけど……」


「「このフォルムの敵はモ○ハンでいっぱい出てきてたからか……」」




 野郎二人はワームドラゴンに対して既視感デジャヴュを感じていた。なぜなら目の前にいるワームドラゴンが日本にいた時に遊んだ事がある、『モ○○ターハ○ター』と言うゲーム内で出てくるモンスターに見た目がそっくりで、ゲームにワームドラゴンが出てきてもおかしくない程だった。


 『モ○○ターハ○ター』は人間が自分の何倍も体が大きい怪物モンスターを武器を使って狩猟するゲームで、プレイヤーは怪物が攻撃してくる予備動作を見極めながら怪物を攻撃して倒したり、弱らせて捕獲しなければならない。しかもゲームに出てくる怪物のほとんどがドラゴンだ。もちろん油断すれば怪物から手痛いダメージを受けてしまい、防具が弱ければ一発KOなんてこともある。


 優之介と斬波はゲームをやり込んでいたので、怪物の動きに合わせて攻撃する事はお手の物だった。異世界に転移してから今まで色んな敵と戦ってきたが、人型のゴブリンやオーガよりドラゴンの方が戦いやすかったのは言うまでもない。




―ザシュ! ザシュ!!―




「【炎砲ファイヤーカノン】!!」




―ドォォォン!!―




「ギィェェェェ!!」


「どんなもんだ!」


「ガアアアアアアアア!!」




―ビュンッ! ビュンッ!!―




「うぉっと!?」


「油断するな! 喰らったらアウトだと思えよ!!」




 ゲームならプレイヤーキャラが力尽きても死ぬことはないが、今目の前で起きてる現象は全て事実、力尽きたらそのまま死んで人生ゲームオーバーだ。


 ゲーム感覚で戦いそうになった優之介は今一度気を引き締めてワームドラゴンに挑むのであった。




「そろそろ決着つけさせてもらうぞ!!」


「お、優之介はこれからか。そんじゃ、俺はここから見物させてもらうとするか♪」


「……え!?」


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