第一話 異世界召喚されたようです

「よいしょっと……。斬波さん、斬波さんは…………」




 ひとまず優之介は同行者である斬波を探す、すると……。




「ここだよ、優之介」




 優之介は後ろから声がかけられたので振り向くと、そこには胡座をかいて床に座る斬波の姿があった。




「俺達は成田から新千歳行の飛行機に乗ってて、エンジントラブルが原因で海上に不時着し、機体が弾けた勢いで空中に放り出されたはずなんだが何だぁここは? まぁいい、不測の事態に直面した時はまず、状況を整理することで冷静さを取り戻すとするか」




 「冷静さを取り戻すか」と言ってきてる時点で貴方は冷静ですよね? と心の中で突っ込みつつ優之介と斬波は小さく円陣を組んだ。俺達は先ずこの景色が見える直前の状況を簡単におさらいした。




「(先ず俺達は飛行機に乗ってました、飛行機から空中に放り出されて視界が光で何も見えなくなったと思ったら、気づけばここにいました)」


「(よろしい、では現在の状況だ。周囲を見渡すと他の乗員乗客もいるな、だが荷物類などはない)」




 「荷物類がない」と聞いた時に俺は周囲を見回した、確かにバッグ等の手荷物が見当たらなかった。空中に放り出されたのだから荷物がないのは当然かと思った優之介は一人納得した。


 ついでに自分の服のポケットをまさぐったら愛用のスマホが出てきた、もちろんフライト中だったので電源を切ってある。




「(だけどポケットには電源を切ったスマホが普通にありますよ?)」


「(そこはあまり深く考えるな、俺もあった)」




 そう言って斬波はスマホをポケットから出して見せた。放り出された時によくポケットから出なかったものだ。


 現時点で確認できることは衣服のポケットとかに入ってた小物はそのまま一緒にここにあるようだ。しかしどうしたものか、いろいろ話し合うために2人で縮こまっていると、優之介と斬波の他にこの場所で横たわっていた人達が起き上がってきた。だが、俺と斬波さんはお構いなしに円陣を組んだまま、話を続けようとした。




「ところで斬波さんここっ―」


「あの、どこか具合が悪いのでしょうか?」




 斬波さんと状況整理しようと話を切り出そうとしたタイミングで俺の後ろから声がかけられた。そこにいたのはセルリアンブルーのドレスを纏った金髪碧眼の美少女と、軍服を着た銀髪碧眼の美女がいた。金髪美少女が前に出たところを見ると優之介に声をかけたのは金髪美少女の方だったようだ。


 うん、金髪美少女は大きさ、形共にバランスのとれたいいお胸をしてらっしゃる、あと完全に外国人の顔立ちなのに日本語上手いなと優之介は思ってしまった。




「え? あ、えっと―」


「大丈夫です。それよりも失礼ですがここは何処なのでしょう?」


「アースカイ王国、王城内の式典の間になりますわ」




 斬波は突然現れた少女に優之介の疑問をそのまま質問した、優之介は斬波に心の中でグッドのハンドサインを送った。


 それにしてもこの金髪美少女はここがアースカイ王国王城内の式典の間だと言った、少女の言葉を聞いて優之介はますます今、自分が置かれた状況が理解できなくなっていった。




「アースカイ王国? 式典の間? 俺達は海に放り出されたはずなんだ、何でこんな室内にいるんだよ……?」




 優之介の言葉を聞いて優之介と斬波の周囲に居る、恐らく一緒に海に放り出されたであろう乗員乗客達が「そうだ、あの時……」「ここは何処だ?」等口々につぶやき始めた。


 自分達の身に何が起きたのかを理解できてない人々を見かねた金髪美少女は衝撃的な事を優之介達に告げた。




「貴方方は勇者召喚の儀によって呼び出された勇者様でございます、私達の召喚に応じ、異世界からようこそおいでくださいました」




 自分達が異世界から召喚された勇者だと、金髪美少女から非現実的な事を聞かされた一同は困惑のあまり、何一つ言葉を発する事ができなかった。

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