第4話

俺はいつでも、奴がやって来るだけで憂鬱になる気がする。そう、気がするだけであるのかもしれない。奴がいると安心する自分がいるのも確かだからだ。

しかし、余計に長い尻尾が後から邪魔になるパターンが多いのだ。それは重く、ずるずると引き摺らざるを得なくなることばかりだった。仕事の最中には大きな負荷を俺にかけてくることがある。


気持ちが暗くなると、まるで俺の中を覗いたように彼らから嘲笑の嵐がやって来る。


「気合入れろ!」

そう心が言うのを聞いて、仕方なく俺の気持ちの中で偽りのポジティブが重い腰を上げる。

これじゃ、まるで生きるために生きてるみたいなもんだ。

疲れて帰り、布団に横になると砂を噛むような生活に嫌気が差す日ばかり。

「充実した生活だ!」腹の底からそう言える日を作り出すという野望に燃え出す心が、一人で空回りする度に、俺はそいつを冷めた目で見る。

その時、劣等感に安心する自分を感じるのだ。

そうさ、お前は俺の逃げ場所なんだ。

「へへっ…。」

劣等感は照れているのか、蔑んでいるのか分からない意味深な笑いを浮かべるのだった。

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