第11話 完璧美女なサキュバスが顧問になったのだが…… の巻
<これまでのあらすじ>
「悪夢なんか食べたくない」
自らの存在価値を否定する美少女獏ちゃんこと
「あ、そ」
主人公の俺も負けじと“まんがタイムきるる”を読みながらコーラを飲んで大音量のゲップを放つ。
部室の隅でエロゲをやっているガリロリ眼鏡が最下級サキュバスの
そしてガリロリ眼鏡を見ながらせわしなくお股をすりすりしてるのが
悪夢を食べる獏の中でも超エリート、なのにガチ百合。
これが夢部(仮)の面子。
何だか人類の脅威になるとんでもない悪魔がここらに来たらしいけど、平常運転。いいのだろうか? 多分いいのだろう。
そう思いながらうたた寝してしまった俺はこんな夢を見てしまう。
↓
「発見された!」
俺は舌打ちしながらM4アサルトカービン銃の引き金を引き、武装した二人のテロリストを片づけた。
サーチライトの明りが交差する闇の中、コンテナが積み上げられた四方の通路から、大勢の足音が勢いよく近づいてくる。
「アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ、迎撃突破せよ」
作戦本部から無線指示を受けた俺は、体を低くし、カービン銃を構えた。
フラッシュライトのような光が、通路の奥で連続して光る、と同時に耳をつんざく銃声が響き渡った。
銃撃の発火光で姿が浮かび上がった敵へ、外す事無く銃弾を叩き込む。
「らりひゃ~! 敵さんが来ちゃいました!! こうなったら撃っちゃいますよ~、ごめんなさ~い」
六本の銃身を回転させるモーターがうなりを上げ、毎分二千発の弾丸を発射する、ミニガンの壮絶な射撃音が轟いた。
攻撃範囲の敵を始末した俺は、カービン銃を構えながら左右を見回した。
発射の反動でデタラメな弾幕を張る戦闘服姿の獏天が
「ら、ら、ら、らりっひゃ~!! 暴れないでくださいよ~、うわ~ん!!」
と、右往左往している。
だが、どういう事なのか、無茶苦茶な方向に放たれる弾丸の雨は、コンテナ上から襲おうとする敵や、コンテナの陰から投げられた手榴弾にタイミング良く当っていた。
それとは別な方向では、巨大ハリセンを目にも止まらない速さで振り下ろし
「甘い甘い! 貴様らの攻撃はまるで甘いぞ! ツッコミだ! お前もツッコミ! そこのお前にもツッコミだー!!」
と、敵の脳天へ次々とツッコミを入れてゆく夢香先輩の姿。
更に別方向では、
「むひひ、無駄無駄無駄無駄! これでもくらうでござるよー!」
自ら開発したパワードスーツを身に纏った咲馬が、敵の銃弾を物ともしないで通路を進み、超強力な電磁波を発射、銃身に装填された弾薬を爆発させ、敵の銃を次々と破裂させていた。
これが俺達の力、世界政府特殊部隊の力。
港湾センタービルに乗り込んだ俺達は、抵抗する敵軍を壊滅させ、最上階にたどり着いた。
「もう諦めて大統領を返してもらおうか」
管制室の奥に座る女性に、俺はカービン銃を向ける。
サーチライトの光が幾度も通り過ぎる窓を背に、女性はゆっくり立ち上がった。
「大統領は既に解放してあるわ、確認なさい。勇ましいボウヤ」
赤と黒のチェック柄ネクタイが目を引くスーツ姿の二十代らしき白人の女性。カービン銃のライトに照らされた瞳はサイダーブルー、淡い金髪は後ろに纏められアップ髪になっている。
目や表情に、観念した色や挑発する色は見受けられない。かと言って無感情な訳でもない。
――――厄介な相手だ。
「隊長殿、大統領は開放され、無事保護されているでござる!」
無線を切る音と同時に咲馬が言う。
「よし、確認した。では、両手を上げて……え!?」
女がゆっくりとスーツを脱ぎ始めた。
「おい! 動くな!」
俺の声にも女は脱ぐ行為を止めず、遂にはスーツパンツも下ろし脱ぎ、豊満なボンテージ姿を露わにした。
「さあて、何から始めましょうか、ボウヤ。言葉攻め? ロウソク攻め?」
な、何を言って……う、動くな!」
ランウェイを歩くモデルの様に、女が艶めかしく腰を振りながら近づいてくる。
「ハードにムチからいっちゃう?」
女の空手が何かを払いのけるよう動く――――が、いつの間にかその手にはムチが握られていた。
驚いて引き金を引こうとした俺の耳に咲馬から無線が入る。
「隊長殿! 気をつけるでござる。開放された大統領の体にはミミズ腫れの傷が無数にあり『女王様もっとぶって』とうわ言を繰り返しているでござる。敵のボスは拷問と洗脳のエキスパート……」
何かが耳をかすめ、無線用のイヤホンを弾き飛ばした。
「あらあら、アタシの質問にも答えないで誰の話を聞いてるの? いけないボウヤだこと」
そういってムチの先をもうひとつの手で掴む。そこで俺は気付いた、女のムチが耳のイヤホンを弾き飛ばしたことに。
「きっちりお仕置きが必要ねえ……あの大統領みたいに!」
右手が鋭くしなり、バシッ! とムチが床を叩く。
その音に体をビクリとさせてしまった。
「まずはその銃が邪魔ね」
あっ! と言う間もなく、どこからか現れた荒縄が体に絡みつき、俺は亀甲縛りの恰好で天井からぶら下がっていた。
「いい眺めよボウヤ。どう調教してやろうかしら……ああん、ムズムズしちゃうわ」
女はムチを握った手をいやらしく舐めた。
「や、やめ……やめろ」
空気を引き裂く音が響き、臀部に衝撃が走る!
「やめろですって? 誰に命令してるかわかってるのかしら?」
再び空気を切り裂く音、先程当てた部分と寸分違わない所へムチが叩き込まれた。
「わかりましたー! やめてくださいー!」
あまりの衝撃で、臀部から感覚が消えゆくことに恐怖を覚え、恥も外聞もなく大声を上げてしまう。
「んん~? もっとやってください、ですってー? いいわよ! もっとやってあげる! その前に私の事はこう呼びなさい……」
臀部へ何度もムチが振り下ろされる。その度に衝撃が走り、感覚が消えてゆく。
いや、代わりに新たな感覚が生じてきた。これは……!?
「快楽をもっと! もっともっと下さいお姉さま、っとね!」
ムチの乱れ連打が俺の臀部に途方もない快感を走らせる!
やべえ! すげえ気持ちいい! 気持ち良過ぎて気絶するー!!
「こら~、そこの何か凄くえっちいカッコしてる人~! 鍋くんに何てことしてるんですか~!」
ムチの連打が止まり、意識がぼんやりと回復した俺は耳をビリビリさせる声の方へ顔を向けた。
そこにはフロアに並ぶ窓ガラスに入りきれない巨大な獏天の顔があった。
「むっ! そこのボンテージ女、なかなか良いスタイルをしているな」
獏天の顔を横に押しのけ、夢香先輩の巨大顔が現れた。
そして女を物色するようニヤニヤしながら顎に手を当てる。
「ん? ちょっと待て、お前……」
「も~、夢香ちゃん! どいてくださいよ~、鍋くんが干し柿みたいに吊るされているんですよ~。早く助けなきゃです~」
獏天が夢香先輩の顔に手を当てどかそうとする。
「待て、優夢。あのボンテージ女もしかして……」
「いいからどいてくださ~い」
互いに押し合う二人を涼しい顔で見ていた女が
「続きはまた後ね、ボウヤ。いいえ、鍋島卓巳くん」
耳元に囁くと、虹色に変化し、花火の様に拡散して消えた。
つづく
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