3.融けあう心
前書き
最近母親が僕の2DSですこし時代遅れの「トモダチコレクション新生活」をプレイしてます。僕のアバターに苦手な食べ物を食べさせる所を見て少し恐怖を感じた矢口です。いやぁ...三話です!正直ここら辺でネタ切れ起こすんじゃないかと思っていましたが全く尽きる事を知らず、湧いてきます!やるな!自分!なんてアホな事考えてます。さぁ楽しんでいただけるように執筆していきます。お付き合いください!ウナムでした!
夏が終わりを告げようと虫の音もフィナーレに差し掛かる頃。僕たちは同じ部屋にいるだけで気温が五度ほど上がりそうな修羅場のど真ん中にいた。
「今日こそはピーピー泣かせてやるよ。このクソガキが!舐めやがってクソがぁ!」
「言葉遣いがなってませんよ。それに泣きを見るのはあなたの方ですリリス。」
一触即発なこの状況でどう発言していいものか。ただこの修羅場が終わるまで耐えるしかない。発言など不要だ。
「何でお前の名前はマリンなんだよ!マリンっていうのは海の事だろうが!何で風の精のお前がその名前なんだよ!」
「駄々をこねないでください。私の名前の語源は魔術師のマーリンからきてるのですよ。」
「あぁもう何でお前は依代が風と"花"なんだよ!花要らないだろ?風の精なんだから風使っとけよ!」
「生まれつき特殊だと言われてきました。仕方ないでしょうに。」
納得いかないリリスと説得する気のないマリン。これじゃあ話もまとまらないわけだ。
「あぁもう!うるせぇ!痴話喧嘩なら他所でやれってんだ!この駄精霊王共が!」
ジェミニがいきなり沸点に達したようで声を発する。
「フェルノうるせぇぞ!」
「少し黙ってていただいてもよろしいかしら?」
二人はジェミニをいじめる時だけ息があうなぁ...
「おいジーク...あれ、どうすんだよ...」
「僕じゃどうにも出来ないよ!」
レジェは落ち着いてこう言った。
「みんな一旦お静かになさってはどうですか?もう夜遅いですし、近所の迷惑も考えましょう?」
みんな正論に黙り込み少し気まずい空気になってしまう。そもそも、なぜこんなにもこの人達は仲が悪いのか。僕たちには分からない。しかしここまで仲が悪いと、逆に仲が良いのではないかと思ってしまう。流石にそんなことは無いか...。と、少し考え込んでいるとマリンが静寂を切り裂いた。
「ご迷惑をおかけしました。大変お見苦しいところを見せてしまい...申し訳ありませんでした。」
と言って一枚のバラの花びらになって消えてしまった。
「あーあ!もう!あのクソガキがぁ!帰る!悪かったな。これ、お前らんだろ。ほらよ。」
そう言って何か布で包んであるものを渡して去ってしまった。あの、リリスさん。あなたが消えると依代にしてた水が部屋を濡らすので、次帰る時はお風呂でお願いします。と、心の中で思い、一旦安堵の息をつく。
「ジーク。リリスから渡されたそれは一体何なのですか?」
僕はリリスから渡された包みを丁寧に開けるとそこには、到底この世のものとは思えない、大きく鮮やかな鱗が入っていた。しかし、何のために鱗が入っているのかは、甚だ謎だった。
「なんだよ!ただの生ゴミだろこんなん!リリスのやつどういうつもりだよ!」
「確かにリリスは僕達をおもちゃみたいに扱ってくるけど、さっき僕にこれを渡した時は何か雰囲気が違ったんだ。」
僕はリリスを信じていた。ジェミニも少し落ち着いたようで、この鱗について、少し考えを巡らせていたようだった。
「その鱗、確実に魚のものではないように見受けられます。どこか無機物のような...」
そうレジェが言うと、いきなりジェミニは僕の体を乗っ取った。何かを思い出し、怒りが込み上げたかのような。そんな気持ちがジェミニを襲うのがくっきりと伝わってきた。
僕はその気持ちの真意が知りたくて、ジェミニに聞いてみた。
「この鱗。これはなんだって言うの?ジェミニは何か知ってるんでしょ?話してよ。」
ジェミニは一言も発そうとはしなかったが、ジェミニの脳内に創星神というワードが浮かんでくるのを感じると、僕はジェミニにどう声をかけていいのか分からなくなっていた。
「ジーク。少し寝かしてくれねぇか。明日絶対に話す。ただ、気持ちの整理がつかねぇんだよ。」
僕は繋がった感覚を通し、了解した。レジェはその時すでにほとんどの理解を終えていたように感じた。
いつも思うけど、大昔二人はどんな関係で大戦を起こしたのだろうか。これ以上こんな事を考えるのは野暮だと思い、レジェやジェミニが僕の心を悟る前に心の中から揉み消した。
それにしても最近、家の中にまで視線を感じるようになってきた。しかし周りを見渡してもその姿はなく、いつもの広い家がただ広がるだけだった。やはりこの前出会ったトロイとかいう自称神か。それとも違う何かか、はたまたただの勘違いか。後者であってほしいと強く願っている。しかしそんな願いをよそに目の前に現れたのはトロイだった。
「なんだよ〜!せっかくの神の降臨なのに!すっごい残念そうな顔するじゃん!?まぁいいや!」
「何か用でしょうか?」
僕はこの時、用件だけを手短に聞きたかったので、この自称神に少し冷たく当たった。
「うげぇ...怖い怖い。せっかく俺が面白い昔話をしてあげようと思って来たのに〜!」
わざとらしく怖がり、さらりと用件を伝えてくるトロイ。その昔話とやらは少し気になったが、こいつの素性はほとんど謎であるため、僕はジェミニを気遣って寝る事にした。
「せっかくですけど、今日はもう寝ます。その昔話とやらはまた次の機会によろしくお願いします。」
するとトロイは、
「そうかい。それじゃ一言だけ。...精霊達とは仲良くね。」
とだけ言い残して普通に玄関から出て行った。いつもの威圧感を殺すような哀愁のある背中だったが、なにがそうさせているのかは分からなかった。
*
僕はジェミニの感覚とシンクロしながらどうやら寝ていたようだ。レジェはすでに起きていた。そして、ジェミニが起きる前に話しておきたい事があるという。彼女は真剣な雰囲気を醸し出した。僕はそれに釣られるかのように真剣な心構えをした。
「いいですかジーク。創星神はそれぞれ神器を持っています。」
...なにを今更分かり切ったことを言っているんだ?と、レジェにしては珍しく的を得ていない発言だと思った。しかしレジェは言葉を続けた。
「さっきの鱗は神器のパーツです。きっと魚座の。」
僕は意味が分からなかった。リリスが魚座の創星神を倒してパーツを取ってきたとでも言いたいのだろうか。そう思っていると、どうやら違ったようで少し苦笑気味にレジェは
「やはり、分からないですよね...。」
とレジェらしくない言動をとって話を闇に投げようとした。しかし僕は何か大切なヒントがそこにあるような気がしてならず、
「話してよ。レジェ。いつもの君らしくないじゃないか。」
少し辛辣に話すように促した。しかしレジェは納得いっていないようで、
「何が私らしさなのですか?」
と僕を困らせるかのように聞いてきた。しかし、僕は二人と一緒に生活してきたからこそ何かを掴めていたような気がした。
「レジェは真っ直ぐで、騎士として人として、自分であり続けようとした。そのなろうとした自分こそが、レジェらしさなんだよ。」
きっとではない。絶対に。
レジェに初めて正面からぶつかった。レジェは少し涙を、いつもの優しい笑顔に浮かべていた。僕はレジェの笑顔の片鱗を垣間見たような気がした。レジェは軽くお礼を言い、涙を拭うと、魚座の創星神について話し始めた。
「魚座は形を持たない創星神なのです。しかしそれは皆の神器の部品になっているからなのですよ。そして今回、ジェミニのもとにもそのパーツが届いたような感じです。」
しかし何故リリスが持っていたのか。何故レジェはこの事を隠そうとしたのか。少し疑問だった。
僕はレジェが、珍しくもう一度寝たいと言ってきたため、快く了承した。詳しい事は起きてから聞く事にしようと思う。ジェミニも何かを話してくれると言質を取ったので、僕はその言葉を信じて目を瞑った。
ジェミニは意外と嘘が下手だなと思いながら。
*
俺はジェット・ジェミニ。昔大戦を起こした当事者であり、魔王と恐れられた身でもある。双子座というだけあって俺には、もう一人の人格がある。創星神の中でも一際強いと言われていたが、実際は自惚れで身を滅ぼした愚者に過ぎない。だが俺は、ジークの体で初めて五感というものを使った気がした。俺たち創星神には元々五感はある。飯を食ったりすることも可能であるため、俺が今更五感を使ったなんて到底おかしい話なのである。それでもなんだか、昔では感じなかった感情が差し込んで来るのを感じる時がある。ジークやレジェの優しさに呑まれたのかもしれないな。
そんな二人に真実を打ち明けるのが怖くて、今日は逃げてしまったが、もう逃げない。明日こそ伝える。そのための仲間だってジークはいつも言っているじゃないか。
そう思うと俺は安心して眠りにつくことができた。どこまでも深く...
*
翌日、僕たちは午後まで寝ていた。眩しい光に照らされて起きる。しかしレジェは二度寝を思わせず、誰よりも起きるのが早かった。感覚が繋がっているため、じきにジェミニも起きるだろうと思っていると、
ジェミニの意識が少しずつ思考を取り戻し始めた。あと一押しで起きるような。そんな状況だ。
「おはようジェミニ!」
「おう」
ジェミニは元が機械なのに、起きるのが遅い。まるで人間みたいだ。
しかし今日のジェミニは何かが違った。いつもならもう少し寝ようだとか考えたりするのに、今日はスッパリ眠気と決別した。
「おはようございます。ジェミニ。心の準備は出来ましたか。」
レジェはジェミニに歩み寄るように心配に似た感情を孕んでいた。しかし、心配とは似て非なる何かだった気がするのは僕だけだったんだろうか。
「お前が俺を心配するなんて、なんか調子が狂うけどよ、今から俺も調子の狂う事言うぜ。レジェ、ありがとよ。」
あろうことか、ジェミニが心の底からレジェに感謝していた。しかしレジェは、ジェミニの"ありがとう"の意味を捉えきれずにいた。
僕は二人の複雑な感情が混ざり合った不思議な感覚に目が回りそうになる。この広い部屋に、本当に二人がいるようなそんな感覚。僕は心を落ち着かせ、ジェミニに話すようにお願いした。
「あれは魚座"ダイブ・P(ピース)・ピスケスの能力だ。創星神みんなの神器のパーツになって、みんなの強化をすることができる。」
それはつまり、ジェミニはまだ双子座として戦う使命があるってことになる。僕たちと。同じことを思ってかレジェは、
「もういいじゃないですか。争わなくて。あなたがリリスからこれを受け取った時にこの鱗をゴミと言ったのはあなたはもう私と戦いたくなかったからですよね。」
でも、ジェミニはレジェが無機物って言葉を発するまで、これがピスケスの物だと認知していなかったのではなかったのか。という疑問が浮かんできた。その刹那、
「あれは演技だよ。お前らと戦いたく無かった。死にたくねぇし、殺したくなかった。一緒にいたかった。ただそれだけなんだ。」
いつの日か、あの白黒の珠に問われた"何のために一緒にいるのか"という質問。この答えはありきたりな綺麗事で、単純明快だった。他ならないジェミニの意思だったのだと実感することになった。
「だから俺は、この魚座の力。お前らのために使おうと思う。もう迷わない。ジークの前で初めて神器を使った時みたいに一瞬の迷いすら見せやしねぇよ。」
そういうとジェミニはいつものように昼寝をするような体制をとった。その時ジェミニからボソッと
「ジークの奴め。なかなかの大物じゃの。フェルノに善意を植え付けるとはの...」
という声が聞こえた。ザードもきっとわかってくれるだろうと僕は信じている。
*
「ねぇジェミニ?なんで昨日、寝たふりしてレジェと僕の会話聞いてたの?」
僕はやっぱり気になってジェミニに聞きたいことを聞いてみた。
「ヘグっ!?気づいてたのかよ!じゃねぇや...寝てたよ!寝てた!」
誤魔化しきれないな。でも、何となくわかる。僕もレジェも起きてたんだから感覚が繋がってれば眠りにくいよな。それだけじゃなく、自分が悩みの岐路にいるときに自分の話をされたらそれは確かに気になる。
そんな会話をしながら着替えを済ませ、今日もあの丘に向かうのだった。その途中、二つの月が並んで見えた。この街からは二つの月が見える。しかし一つは公転をしておらず、いつでも空を見ると浮かんでいる。まるで真冬の夜のオリオン座のように。
「ジーク。あの不動の月の下には月下城があるのです。しかしながら人間は立ち入ることを禁じられているので、興味本位で立ち行かないことをよろしくお願いします。」
とレジェ言った。いつも思うけど、本当にいろんなことに詳しいな。レジェさんは...
僕が街を出ると、何か蒸し暑さを感じた。
「また、アリアスか!?」
僕は腰を低くし、いつでも剣を構えられる状態に体を持っていく。しかしそこには金属同士が軋むような金属音など聞こえず、いつもの町外れだった。
「おう!お前ら〜!こんなとこで何してんだ〜?」
そう言って近づいてきたのは、バーンさんだった。話を聞くところによると、町外れのこの道は土が柔らかく、雨が降りやすい土地で、ぬかるみに悩む物流業者が多いんだとか。
昨日もここでは雨が降り、道がとても歩けるような状態では無かったため、バーンさんが乾かしていたんだと言うことを聞いた。とても働き者の精霊王さんだな。どこかの湖に生息するブラックバスと違って。
*
...何故か悪寒がする。誰か俺のことを話してんのか?俺はいつもの湖で泳ぎながらジークに渡した"鱗"について考えていた。俺はジークに打ち上げられた次の日、回復して湖に戻った。その時あの鱗を見つけた。当時の俺はただの忘れ物だと思っていたが、あれはなんとなく、あいつの中にいるジェミニのものだと思った。だが、ジェミニという存在は大戦を起こした魔王。そんな奴に塩を送ってよかったのか。とも考えていた。しかもこの鱗をあいつに返そうとしたらマリンのクソガキにも感づかれて、ジークの家で喧嘩しちまったし...
あぁ!もう!なんでこう...うまくいかねぇんだよ!
考えはまとまらない。でも、俺はジークが二人をまとめ上げるって信じてる。俺はとりあえず、マリンとのこの関係をどうにかしねぇと...
*
僕はバーンさんと別れ、丘へと歩みを進めていた。バーンさんはまた店に来いよと言って街へ帰って行ったが、最近外食ばかりでお金があまり無い。どうにか役所で日雇いの仕事を貰ったりしてお金を稼いではいるものの、やはり政治を回すための税金は取られる訳で、生活費に回すためにはもっと仕事をするしかない。今日の帰りあたりに、明日から雇ってくれそうな仕事を探すか。
仕事のことを悩んでいると、あっという間にいつもの練習場所についてしまった。初めて登った時は意外と疲れたが、今はだいぶ慣れた。
鍛冶屋で作ってもらった模造刀で日々鍛錬をしているわけだが、もしかしたらレジェやジェミニも、鍛えればまだ強くなるのではないかと考えたりする。
僕は試しにレジェを竜魔法で体から解放した。レジェは僕の意向を読んでいるため、すでに剣を構えていた。本物の星龍剣だが、レジェは力加減を知っているだろうし、この山を吹き飛ばすようなことはないだろう。
「やるからには手加減抜きですからね。ジーク。」
いつもの優しい声に炎が灯ったような、真っ直ぐな姿勢が僕の肌をピリッと刺激する。負けてはいられない。
「あぁ、レジェ。今の僕の本気。見ててよ。」
僕が深呼吸すると、レジェは瞳を閉じて、剣を地面に突き刺した。柄に両手を置きドンと構えた。
「レジェのあの構え。久しく見たけど、怖えな。気を付けろよ?ジーク。」
ジェミニですら警戒するほどの構え。何が起こるのか分からないが、僕はレジェに本気をぶつけたかった。僕は弧を描くように剣を大振りした。レジェは見た目の重々しい鎧からは想像出来ないほどの速さで、僕の剣を翻し、僕の背後に剣を持たずに回り込み、硬い装甲を纏った肘で背中をくじいてきた。僕は辛うじて体制を立て直し、レジェの方向に体を捻り、剣を突き立てたが、レジェは僕の突き立てた剣を足場にし、自分の剣がある方向まで軽々と跳んでいった。レジェが剣を足場にしたことによって、僕の剣の重心は崩れ、追撃をする事はほぼ不可能だった。僕が振り向くと目の前には剣先が突き立ててあり、僕は剣を落とし手を挙げ、降参の意を表した。
「流石だね。やっぱり強い...僕も頑張らなくちゃな...」
僕は分かっていた結果だと知りつつも、悔しかった。
「ジーク。悔しいと思うなら、泣かないでください。悔しいという気持ちは、努力が生んだ結晶ですから。」
「ジーク!俺は感動したぜ!いままで何に対しても臆病だったお前が、まさかレジェに挑むなんてよぉ!」
僕は分かっていた。例えジェミニと戦っていても僕は負けていただろうと。でも、二人とこれからも戦っていくには力が必要だ。そう思ったから僕は焦ったのかもしれない。
「今日はもう帰ろう。明日は。明日こそは!負けないから!」
そう言うと僕は力強く拳を握っていた。レジェは僕の心に寄り添うように、僕の背中に手をあて、僕の体の中に帰っていった。
明後日こそは仕事を探そう。明日はレジェを絶対に倒してみせる。
決意と共に丘を降りる。ジェミニは大昔の大戦の時にレジェと戦ったとき、こんなに楽しかったのだろうか。
「そういえば、その大戦で二人戦ったって事までは知ってるけど、どっちが勝ったの?」
僕は過去のことながら少し無神経な事を聞いた。ジェミニはとても素直に、そして恥ずかしげに
「レジェだよ...」
と答えた。なんだか魔王と呼ばれてたとは思えないね。って事はレジェは勇者なのかな。
「あん時のレジェは本当にヤバかったぜ。かなりな。俺もザードも死を覚悟したぜ...なぁ?ザード。」
「本当じゃ全く...!あれは戦いにすらなってないわ!あれじゃただのイジメだぞ!」
どんなに酷かったのだろうか。今でこそ笑い話だが、たくさんの命が奪われた大戦発端の当事者がここまで一方的だったというとなんだかおかしい。僕は背中をさすりながら、大戦で命を落とした者たちへの追悼のために墓場へ赴く事にした。
「家そっちじゃねぇぞ?」
「ジェミニ。ジークは私たちのせいで命を落とした者達を弔おうとしてくれてるのですよ。」
大戦で命を落とした者たちにしてあげられる事はこれしか無いけれど、やれる事があって良かった。
そう思いながら、少し急ぎ足で墓場へと向かった。
この街では墓場に木蓮の花をお供えするしきたりがある。でも、詳しい歴史は知らない。
「ジーク。泰山木という花は知っていますか?木蓮はその花の派生にあたる花です。」
聞いた事がある。最古の花として有名な花だ。
「知ってるけど...その花がどうしたの?」
「この街では、文明発展の象徴として木蓮が挙げられているんですよ。だから死者が積み上げてきた文明に感謝するために。」
「じゃあ買って行かなきゃね。」
僕は山をさらに急ぎ足で降りる。
「そういう事であれば...これをどうぞ。木蓮です。」
「うわあぁぁぁぁぁ!」
「うげえぇぇぇぇぇ!」
「あら。ありがとうございます。」
いきなり出てきたのはマリンだ。すごくいきなり出てきたからめちゃくちゃ驚いた。でも、ありがとう。
「マリン。ありがとう。とりあえずこれもらってくよ。」
「どういたしまして。バーンの手伝いをしていたら帰る途中、あなたたちが目に入ったのでつい聞き耳を立ててしまいました。花の話なら私に任せてください。それでは。」
そう言って消えてしまった。今日は花が散らない。という事は喧嘩してた時にリリスが言っていた、依代が風と"花"って言っていたのは本当だったんだな。疑ってないけど。
街まで帰ってくると、朝ヌルヌルしていた道が、微弱な砂埃を上げるほどに乾いていた。
「すごいな。この短時間でこの範囲の土地を乾かすとは。」
「えぇ。砂を蹴る感覚と音が気持ちいいですね。」
レジェがそういうと、ジェミニは少し寂しそうな気持ちを抱いたように感じた。
「俺は足がねぇんだよ!ジェット機付いてんの!足がジェット機じゃ二足歩行出来ねぇんだよ!」
わざわざ説明しなくても...でも、なんかごめん。だけど、ジェミニには僕やレジェには無い感覚がたくさんあるのだろうと思うと、すこしベクトル違いで羨ましさを感じる。
「すみません。でも、それなら良くジークの体扱えていますね。」
レジェの視点は鋭く、僕もその点については気になった。
「あぁ。創星神は元々、人間を基に造られた概念でな。この体はほぼ後付けだ。」
だから体の扱いに慣れていたのか。人間を基に...じゃあ人間の形をしていない羊や魚、蛇はどう説明つければいいのか。
「もしかして体バラバラっ...!?」
僕は恐れをあらわにした。が、レジェは、
「そんな物騒な神がいますか...邪神か何かですか...」
と諭されてしまった。というか、レジェってたまに僕の事怖がってるよね。僕より強いのに何故。
「蛇はともかく、羊と魚については元々人間の体を基に造られてるんだ。」
という事は、神という実体のない者達が体を持った存在が創星神というわけか。というか蛇は仲間外れなのか。
「お前、英語弱いだろ。リベリナー・スネークのリベリナーは"反逆者"って意味だよ。」
そういう事か。あの蛇は、創星神に反逆した者なのか。
「ちなみにジーク。スネークは神器を持っていないので創星神ではありません。」
レジェも創星神については理解が深いようで、スネークの情報を持っていた。
創星神については難しくて、全部の事が分かったとは言い難いが、ジェミニの事が少し分かった気がした。そんな話をして歩いていると、あっという間に墓地へと着いた。
入り口には切り揃えられた芝生が広がっていた。
「ここに来るのは久しぶりです。墓地の中央には大戦で死した者たちの集合墓地があります。」
レジェも弔いにきた事があるんだろう。そんな大昔からこの墓地は伝統を紡いできたって事だろうし、そう考えるとすごい事なんだ。
そう思いながら入り組んだ道を進む。集合墓地にはポツポツと人の姿があったが皆、少し手を合わせて帰っていく。僕は墓地に取り残されてしまった。
一人になったがやる事は変わらない。木蓮の花をお供えし、この街を守り続けてきた者たちへの感謝を募らせた。二分ほど手を合わせ、目を瞑り、祈りを捧げた後帰ろうとすると、集合墓地の右隣に文字の彫ってある石盤を見つけた。そして、その石版には青白い光を放つ薔薇のような花が供えてあった。
「ファントムローズか...」
「ファントムローズですね...」
「ファントムローズ...?」
レジェとジェミニはこの不思議な花について知っているようで声を合わせる。
「ファントムローズの花言葉は"精霊の誕生"です。」
「十三の神が同じ属性の魔法を込めると精霊を生む事ができるんだぜ。」
つまりこの街で皆同じ属性の魔法を使える神と言ったら"創星神"しかいないだろう。つまり、今の精霊王達って...
「おう!俺たちが生んだんだぜ!」
「それって、生んだものと今敵対してるのでは...?」
「ジーク。ここは文明の街。創星神も文明を孕むために努力してきた身なのです。」
僕は戦う意味をまた失いかける。しかしスネークの一件のように創星神絡みで被害者を出す事はもう嫌だ。今日は決意を固める事多いな。
「僕は文明とかよくわからないけど今、笑顔を必要としている人たちのために戦うよ。さぁ帰ろうか。」
帰るために、入ってきた場所に向かおうとした時、ふと石版の文字が目に入った。
"大戦の英雄レジェ・セインに感謝と供養を"
僕は少し複雑な気持ちだったが見て見ぬふりをした。
「さぁ!今日のご飯は何にしようか!」
「俺は肉が食いてえな!」
「私はなんだか鮮魚が食べたいですね。」
うん。平常通り。凸凹激しい二人だ。
「じゃあ今日はお肉を買って、魚を釣って帰ろうか。」
なんて冗談を言いながら帰った。
*
「よぉ。お前らにおすそ分けしにきてやったぞ。ありがたく思え。」
何故勝手に居間でくつろいでいるんだ。
「リリス。頼むから遊びに来るときは僕がいる時にしてよ。」
僕がそういうと、リリスはにっと笑って大きな魚を差し出してきた。
その後お風呂場に行って消えてしまった。あれ?少し成長した?ちゃんと消える時、水回りで消えてくれるようになった?まぁ魚はレジェが食べたがっていたのでよしとしよう。
食糧庫には少し豚肉が残っていたので、二人のリクエストには答えられそうだ。
「今日は豚丼と刺身だね。」
ご飯をつくり、食べる。これだけの作業なのに、何故かいつもより家庭感がある。ご飯も食べ終わり、お風呂に入ろうとドアを開けると、
「よぉ。ジーク。」
もう驚かない。こんな事少し前にもあったけど。今回は湯気が出てるし、部屋も心なしか暖かい。確実に浴槽はお湯だろう。それより今回は何かあるのだろうかと
「今日は何かあるの?」
少し気になった素振りを見せつつ話を聞いてみた。リリスは少し不穏な雰囲気を出して
「落ち着いて聞けよ。最近俺やマリンの使い魔が乗っ取られてんだよ。お前らの事を襲うかもしれねぇ。」
「そんなん怖かねぇだろ。たかが下級の精霊如き...」
ジェミニは少し過剰に反応したが、今日は少し落ち着いているように見えた。
「俺も潰しちゃいるが、乗っ取って操ってるやつ殺らねえと、ずっといたちごっこなんだよ。」
だから注意喚起と報告に来たってわけか。僕は体を流しながらリリスと話していた。
「じゃあどうすればいいの?」
「とりあえず明日、親玉を探してみようと思うんだが、お前も来てくれねぇかってわけだ。」
やけに素直にお願いしてくるリリスに少し違和感を覚えながらも僕はそれを了承した。
湯船に入りリリスと対角線上に座る。
「で、明日行く心当たりはあるの?」
「あぁ。その事なんだが、お前トロイっていう神知ってっか?」
面識がある。でも、詳しくは知らない。そのためそれとなくリリスにそのことを伝えた。
「そうか!知ってんのか!あいつのこと知ってれば大丈夫だ!」
僕には意味がわからなかったが大丈夫らしい。
「呼んだ?」
とてつもない存在感がいきなり現れた。湯船の上を浮いている。リリスは湯船を浮いてるけど。
「噂をすればトロイ!何しに来たんだよ!」
「何しにってリリス。君が呼んだんじゃないか!?なんだ君たち。俺の扱い雑じゃないか!?」
何はともあれトロイがいれば解決するとのことだったので助かった。
リリスは少し落ち着き、いつもの雰囲気に戻った。
「とりあえず用件を聞こうか?それともお邪魔だったかな?」
「いや、時代の傍観者であるお前に聞きたい事がある。最近の使い魔の乗っ取りについてだ。」
トロイは少し難しい表情を作ると、リリスに向けて鋭い視線を送った。
「俺は情報屋じゃない。情報が欲しいなら専門に扱ってるところに行きなよ。あーあ。来て損した。」
そうトロイはいい、消えようと炎を盛らせる。
「待ってくださいトロイ。この前言っていた昔話、教えて下さい。」
レジェはいきなり僕の体を乗っ取ってトロイを引き止めた。トロイは思い出したかのように
「あぁその事だったら、次の機会話そう。とりあえず俺は君たちの健闘を祈ってるよ。じゃあね〜!」
そう言うとトロイは早々に消えてしまった。
「全く。んだよあいつ!本当に気まぐれなヤロウだなぁ!クソ!」
君にだけは言われたくないと思うよ。
翌日朝、玄関を出ると、見覚えのある男が立っていた。
「起きるのが遅いんじゃないかな。一時間もここで待っていた俺の気持ちも汲んで欲しいものだ。」
憎まれ口を叩いて玄関に背を預け、寄り掛かっていたのはオウルだった。そして破れかぶれな服を着た暗い女性が隣にいた。
「君たち、なんか危なっかしい。少し見てた。三位一体。凄い。」
片言だがとても舌が回る女性だ。
「こいつはオクトパス。俺の仲間だ。とりあえずこいつが親玉を知ってるって言ってたから連れてきてやった。」
おい、少し待て。なんで昨日の会話をお前が知っているんだ。と思っていると、
「凄い存在感の自称神。お前ら助けろって。」
トロイの事だ。それにしても不器用に僕たちの問題解決を手伝ってくれている。
「では、親玉のところまで案内願えますか?」
レジェが案内を頼んだその時、
「俺を忘れんな!ジークの分際で!」
リリスが飛び出してきた。もう、いろいろとイレギュラーだ。一旦落ち着かせてくれ。
「こいつが水の精霊王か。」
「親近感。水の精霊。」
二人は面白いほどに適応力が高い。普通の人なら驚くほどの快挙だ。
精霊を拝める機会などなかなかないのだから。
リリスが二人に大体の事情を説明し、オクトパスは案内を開始した。
街外れのいつも通っている道に出ると、黒く染まった精霊らしき影を多数見つける。サイズは成人男性ほどで、三十〜四十体ほどの群れが、茂みに入っていくのを見つける。
「あいつら追う。アジト分かる。親玉倒す。」
オクトパスはとてもざっくりとしながらもとても良い案を講じた。
でもあの大群+親玉では勝てるかどうか分からない。
「俺が一人で雑魚を一掃する。少し離れて見てろ。」
そう言ったのはリリスだった。
*
さぁ久しぶりに暴れようじゃねぇか。俺はこれでも精霊王。戦いに関しちゃまだまだ折れるわけにはいかねぇのさ。
俺は手始めに最後尾の使い魔にちょっかいをかけた。相手は連鎖的にこちらを向き、すべての使い魔のヘイトが俺に集まった。
「へへっ。行くぜ。創造・湧水(クリエイト・インフィニティ)」
俺は水の力を高圧で切れ味の良い刃物に変形させた。
しばらく殴り合いが続き、数の暴力で俺は少しずつダメージを蓄積していた。だが、それもここまでだ。
「飽きた。そろそろ終わりにしようぜ?」
そう言うと俺は右手に、水を螺旋状にしたメリケンのようなものを作る。
「水拳(アクアジャブ)!!」
黒く染まった使い魔達が俺の連撃を受け、溶けていく。
「最後のお前には一番キツいのくれてやる。水昇拳(アクアアッパー)!!!」
*
リリスはあっという間に四十ほどの大群を蹴散らしてしまった。
「あいつ、序盤ワザと相手からのダメージ食らってたな。何故だ?」
オウルの目にはそう写ったようだ。実際僕にもそう見えていた。
「水の精霊王。殴られる事で使い魔へ贖罪。」
オクトパスも何か感じとったようで、レジェはオクトパスに同感しているように思えた。
「ジーク。オクトパスの言う通り、きっとリリスは自分の力不足で使い魔が乗っ取られてしまったことへの責任を感じているのだと思います。」
リリスは振り向きざまに笑っていた。
「笑顔。素敵ですね。」
「は?俺は笑ってねえぞ!ジークのクソガキ!」
本当に素直じゃない。でも、この人は強くて弱い。僕はそう思いながら茂みの中へと入って行った。
茂みに入るとそこには、黒く染まったバラが咲いていた。
「ファントムローズだな。だがなぜ黒い?」
リリスは首を傾げて考える。するとオウルが口を開いた。
「黒いファントムローズの花言葉は"堕落"だ。差し詰め、この花に操られたとかその辺の話だろう。」
これに続いてオクトパスも考察を落とした。
「ファントムローズ。白くしか咲かない。黒は初めて。何か不穏。」
レジェはオクトパスの発言に引っ掛かったようで言葉を返す。
「初めてなら、オウルさんが言った花言葉はどう説明するのですか?」
「それは...」
オクトパスは黙ってしまった。するとジェミニがレジェを中心とした皆に説明しようと試みた。
「俺は創星神が一人。双子座のジェミニだ。ファントムローズが黒くなるとき。それは中途半端な魔力を花に注がれた時だ。」
つまり誰かが中途半端にファントムローズを扱い、捨てた。または植えたということになる。
「これにて俺たちは失礼する。仕事は終わったからな。」
「また会うかも。じゃあね。」
自由な人達だが、仕事はこなしてくれた。この仕事を無駄にしないようにしなくちゃな。
それにしても誰がそんなことを...と考えていた。リリスは頭を抱えて考え込んでしまった。
「チッそうだったのかよ...危ねぇ花だな...」
そう言うとリリスは黒のファントムローズをズタズタに切り刻んだ。あのまま放置していたらこの街は危険だったのだろうか。そう考えると、心がゾッとした。二人もその恐怖を感じていたように思う。
「リリス。我は気がかりなのじゃ。この薔薇を仕掛けた張本人がなんとなく心当たりがあるからの...」
「おう!愛しのザードちゃん!その相手ってのは誰なんだい?」
本当にザードに弱いなこの精霊王。それにしても感の鋭さはさすがだな。ザード。
「我ら創星神の頂点。オリオンじゃ!しかし、確証はない。今のところ憶測じゃが...」
リリスは鼻の下を伸ばしきり、
「そうかそうか!じゃあ調べておかねぇと!」
と言うと、水になって消えてしまった。本当に自由な王だ。
水と油を無理矢理混ぜたような特殊な人員での、黒使い魔事件は一旦幕を閉じた。
*
「そういやレジェよ。お前今日レジェと戦うんじゃなかったのか?」
「えぇ。あと数分もすれば約束の時間です。」
二人はすっかり世間話を交わすほどの仲になっていた。微笑ましくてついつい笑顔になってしまう。しかし彼らには到底無視できない大きな壁がまだまだ隔たっている事を僕はまだまだ知らなかった。
「ジーク。約束の時間です。」
「あぁ!やってやる!」
僕はレジェを体から解放し、昨日と同じく構え合う。
先制したのは僕だ。しかし今回は戦い方も考えた。本気で行く!
昨日のように大振りで剣を振る。レジェはそれを見計らい、僕の顔の横に脚を挙げた。しかし、今回の僕は一味違う。
「ファング!」
竜属の魔法を使い、魔力によって牙を幻臨させる。レジェは蹴りをやめ、地面に勢いよく足を叩きつけた。その勢いで反作用的に反対の脚での蹴りに転じてくる。僕は背中がガラ空きだった。しかしこれも想定内。
「テール!」
次は牙と同じ要領で尻尾を体に生成し、蹴りを完封する。僕は、片足だけで立つレジェの脚を刈った。彼女は倒れ込んだように見えたが、片手で後方に側転をし、横転を回避した。そのタイミングで僕は切り札を切った。
「クロー!」
鋭く長い爪を彼女に突き立てる。彼女は後方にのけぞった。勝てる。追い討ちをかけるように剣を突き立てた。次の瞬間、剣は僕の手から弾き飛ばされ、レジェの手中に渡った。その後、レジェは剣をフルスイングし、僕の首元を寸止めした。
僕は成す術なく崩れ落ちる。竜魔法も解除し、レジェの勝利を受け入れる。
「ッ...つ、強い...本当に...強いな...レジェ。ありがとう。また、強くなったら相手してよ。」
僕の中でで何かが吹っ切れた。知恵を振り絞っても、剣を振るを速さを高めても彼女の本気にはまだ届かない。僕の本気では届かない。でもいつか追いついてみせる。そう深く思いを募らせると、自然と頬を伝う涙を感じた。
後書き
矢口です!三話いかがだったでしょうか!いやぁ...レジェさんの強さ。光ってましたねぇ...リリスの初戦闘よりも遥かに強そうな描写でしたが、リリスも精霊王ですからまだまだ力が隠れてますよ!あとは、トロイ君の召喚条件について、勘のいい人ならもう気付いている事でしょう!あと、オクトパス君の描写!ずっとオクトパス君の描写したかったから楽しかったですね!自分で簡易的にキャラデザしてるのですが、一番うまく描けたのは間違いなくオクトパス君です。女の子に君付けしてしまって申し訳ない...ちなみに今回書いてて一番楽しかったのはレジェの戦闘シーンですね!そして二番目に楽しかったのはオクトパスちゃん!三番目はリリスの戦闘シーン!今回の執筆も正直自己満足による点が多いですが、楽しんでいただければ幸いです!
キャラデザ(ウナムver)はリクエストがあればTwitterに載せるかもです。雑絵だからその辺は勘弁してください。それでは四話も楽しみにしててくれると嬉しいです!
またお会いしましょう!ウナムでした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます