陰鬱な春

朝 散り積もって 春

冬と夏との辻褄つじつま合わせに

馬鹿みたいな寒暖差で 滔々とうとうと流れる


朝 散り積もって 春

急速的に過ぎ行く摩擦で

昼を温めにかかるとする

陽光 陽光 それどころではない



昼 咽せ返って 春

度を越したうららかさに

肌の下がザラついて もそもそといざ


昼 せ返って 春

アスファルトとエンジン音が

喉の奥にガムみたいに張り付いている

虚像きょぞう 虚像きょぞう もう降らせまい



夜 ぼやけ切って 春

普遍ふへん的な闇が重量で

今日という世界を 粛々しゅくしゅくと終わらせる 


夜 ぼやけ切って 春

鱗粉りんぷんを振りまいて踊り狂う光

あなたは死にていの詩人か

後悔 後悔 官能かんのう的な抒情詩じょじょうし

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