渡り烏

明日あすのドアノブに付いた手垢を 数えるほど擦り切れたわけじゃない

アスファルトにこびり付いたガムの 粘度を確かめるほど持て余してもない


ただ飛んでたいんだ

単純明快な空の 一点の黒色になって

遠く北の地を目指す 渡り烏になって


この夜を飛び越えて 白い朝日に撃たれたら

粉々の灰になって 空の透明度を騙してやる


科学者の左脳と芸術家の右脳との間に降り立って

カーカーカーと笑っていたい



気分のままにスニーカーを 鳴らして歩く幼さがあるわけじゃない

自分で迷子放送をするほどに 都会の迷路に迷いなれているわけでもない


ただ飛んでたいんだ

単純明快な空の 一点の黒色になって

誰も居ない地へ行く 渡り烏になって


この夕に飛び込んで 青い月光に撃たれたら

散々な目に遭って 空の透明度を騙してやる


革命家の左腕と政治家の右腕との間に降り立って

カーカーカーと笑っていたい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る