10
ばん。
番傘様の赤い傘が、音を立てて開いた。古風さながらの本物ではなかった。似せて作った、今どきの機械式。
「どうだ、なかなかしゃれてるだろう」
赤いセーター、赤いハイヒール、赤い番傘。
彼女の魅力はその程度で失われるようなことはなかったが、青いジーンズではまるきり台無しだった。
「まっ。分かってないやつ、そこがよいというのに」
彼女は不満げにつぶやき、ひとしきり、そっぽ向く。
番傘を肩にかけ、くるりとひとまわり。
「雨の日っていいよな。ファッションに幅が出る」
そうだろうか。僕は全く共感できない。
でも、彼女が言うならきっとそうなのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます