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 待ったかなと聞くと、彼女は、今来たところだと答えた。


 なんとまあ、俺がこんなやりとりをする相手ができるとは。二十数年生きてきて、今の今まであんなのはフィクションの中だけだと思っていたのに。


 関口さんは、いつものとおり、おとなしい印象のいでたちだった。

 シンプルな白のトレーナーのような服(俺はファッションにうといのだ)に、深い緑色と薄い緑のチェックのスカート。


 しかし、耳元には鮮やかな、空色をすかし込んだようなイヤリングが光っていた。こんな小さなアクセサリー一つで、印象はずいぶんと違うものだ。いつもより更に美人に見えた。


「その、イヤ……イヤリング? 似合ってる……ね、うん」


 女性の褒め方など知らない。

 俺が何とか絞り出すと、関口さんは「えへへ」と実にうれしそうに笑った。

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