3

「そんなもの簡単さ! 僕にまっかせてよ」


 イオリアは僕の手から、さっと教本を取り上げた。そしてそのまま身軽にも飛び上がり、教壇の上に座った。スカートの中が見えそうになるので、僕は思わず目をそらした。

 そんな僕の気遣いなどおかまいなしに、イオリアは、僕の教本を右手に開き、ちょうど指揮者がタクトを振るような、そんな様子で魔素文を読み上げた。


「イオト・アオラ・キリヤクト・レオーラ」


 歌うようなイオリアのかわいらしい声が、教室に響きわたる。とたんに、僕の背中の方で、何かが破裂するような音が聞こえてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る