1章 ラスボスの悩み
スキル屋
ダンジョンの100階の最上階は部屋がラスボスの部屋しかなく他の階よりもごちゃごちゃしてなくてわかりやすい。
だからきっと他の階よりも商売がしやすいと考え、俺はラスボスの前にあるショップ屋さんみたいなノリで店の場所をこの階にした。
ラスボスの部屋の扉がある隣に少し奥行のある洞窟のような歪(いびつ)な穴の上にデカデカと木の看板を構え、スーパーにあるサッカー台のような台を店の前に置いた。
こう見るとめちゃくちゃ当たりそうな占い師のような店構えだが生憎ここは占いの店ではない。
ついでに言うとよくあるRPGゲームのラスボス前のショップのように回復のポーションと装備品も売ってない。
お飾り程度に持っていた剣と装備も何もかも外し店の奥の方に投げ入れ、店の前に立ち店全体を見ながら「うんうん」と頷く。
我ながら上出来!
看板にはたどたどしい筆の文字で『スキル屋』と書かれている。
それがなんともいい味を出している。
スキル屋というのは文字通りスキルを売るお店である。
俺はつい最近『スキル生成』という何ともチートチックなスキルを手に入れた。
それと、ちょっと前に『スキル移し』というスキルも手に入れたため、ダンジョン攻略にそろそろ飽きがきていた俺はふとこのスキル屋を思いついた。
このダンジョン自体は2年ぐらい前に突如日本に登場し、刺激を欲していた人達や興味が引かれた人が次々と挑んで行った。
俺も暇つぶしにこのダンジョンに挑んだもののコツコツとレベルを積み上げてスキルにも恵まれたため1年かからずで単独で攻略することが出来た。
今ではほぼ階段をひたすら登るだけみたいなダンジョンになってしまっているためダイエットにはなるが、正直飽きがきてる。
それなら、また外に出て普通の生活を送ろうとかも頭を過ぎるがもう今更現実に戻りたくないし、ここから出るのを本能が拒んでいる。
これは一種の依存性みたいなものだろうか。それかスケールの大きい引きこもり。
兎にも角にもダンジョン周回するのも飽き、外にも出たくないという我儘の俺が考えたの結果が裏方に回ってみんなをサポートするということ。
相談に来た迷えるチャレンジャーに俺がスキルを与え手助けする。
そして感謝される。
我ながらになんともいい発想だと思っている。
よし。それじゃあ、チャレンジャーが来るまで待つとするか。
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