第4話 笑うじゃがいも

 じゃがいもしか喰わねえ。

 俺は喫煙者が自嘲的に言った「緩やかな自殺」を実現しようとしている。各社のクレジット請求は数十万を超えて滞納され、信用は地に落ち、常に預金は負の値を取る。返済出来るはずもないので、沢山の連絡があった。全部無視したが。

「一度こちらで借りてわたくしどもの、返してもらえませんか?」

 そんな調子で貨幣経済の個人的反対運動をしてるもんだから取り立てなのかピリッとしたスーツの男が家に来る。理知的な毛髪を整髪料で整えていた。

「神の怒りだ。生殖猿め」

 そんなことを喚いていたら消えたが。時間の問題だろう。

 逃避の飲み屋で宵越しの金は持たねぇと喚く気障な男が「ロープをくれ」ってんで針金を渡してやったらキレた。

「これがロープだと言う。見知らぬ酔人め」

「簡単に曲がるし、細いだろ」

 余裕がなくなれば針金をもつかむ。こんな物でも人の役には立つ。今思えばあの男は少し不満げにしていただけだったが、俺は余裕がなかったのだ。

「ロープをくれ。話にならない」

「これがロープだ」

 そう言った後のことはぼんやりとしか覚えていない。

 あん時、馬鹿野朗の真っ赤な顔をブン殴ってやった。しょうもないことだったが、俺はその男にイラついていた。馬鹿馬鹿しいことが気に障っていたのだ、阿呆が。

「何故殴る? 神の怒りだ」

 拳は歯に当たって血を流し、気障きざな男は差し歯をお買い求めになって、

「神の怒りだ!」となおも喚いていた。

 だから俺も「神の怒りよろしく!」とかなんとか叫び、最終的に鼻をへし折ってやった。下手くそな暴力だろうが。拳の骨が折れちまった。

 警察も来ていた気がする。単なる酔っ払いの喧嘩として、示談。治療費を支払って、謝って終わり。変なところで首がつながった。繋がなくともよかったのに。

 それで治療費と腹いせに買った腹筋に電撃を送るチンケなマゾ機械のせいで俺の金は流れた。元々ないのだから、生きている〝信用〟を俺は支払った。

 殺せよ。ハゲ。薄汚い畳の上で骨董品のブラウン管テレビではハゲが笑い、喋り、ちゃちな番組が人生のロクでもなさを象徴していやがる。

 部屋にある箱型テレビは投げ売りされていた。「叩くと接触が良くなるゾォ、ばんばんやれ」などと半分ボケたリサイクルショップのジジイ。

「くそが」

 その箱を手のひらで打つ。画面は赤青緑の稲妻が走り変なコントラストと彩度になっちまった。ボケたジジイみてえな骨董品め。俺の頭もそう変わらない。

 だからじゃがいも買いに行くんだ、俺はじゃがいも人類だから、駆逐された駅前の商店街の裏側にあるじめじめしたこのアパートで芽を出し毒を溜め込む。

 投げつけ、生で喰らい、米よりは炭水化物の吸収が悪い。気休めの熱量。

 安く喰らえるものなら何でもいいって、それは考えていないことになる。その中でも俺は俺の考えがある。だからじゃがいもを買いに行く。

「黙ってろや、すぐ治んだろ」

 カビの生えた畳から立ち上がる。疼く左手、拳はあのくそったれ、神の怒りを殴ってからじくじくとした傷口が喚く。まだ包帯も取れちゃいねえ。左手をはたく。

 レシートとゴミしか詰まってねえ財布には令和元年の取っておいた500円玉だけが入ってる。ゲン担ぎのしょうもない意地だ。十をサイドボードに並べてるように。

 仕事が無けりゃこうなる。「先が見えないんだよね、なんで生きてるの?」うるせえ。子供が欲しいだの結婚したいだの、夢ばかり喚きやがって。バカ女もクソ男もセックスだけが唯一と考えるプリミティブ人類。

 誰とヤッた、ヤらない、サイコーだのサイテーだの、SNS映えしてろや公開セックス霊長類め。と俺は俺の責任に見ないフリをする。ただただ神の怒りである。

 バカバカしいベニヤ板のドアを開ければ晴れるでもなく、曇るでもなく、中途半端な天気となんで生きてるの? な俺が囲われている気がしてならない。ぐちゃぐちゃと能書きを垂れ流すだけが生きている。

 京成津田沼駅までの道を歩く。幾つか新しげな居酒屋、又は美容室があるだけで全てが開いている状態を見たことがない。社会性のように。

 子供の頃に良く行っていたゲーム屋も、プラモ屋も、もうない。介護道具の販売店もしくはシャッター。銭湯も閉店し、ガラスが割れている。経歴と変わらねえ。

 このしょうもない郊外の街は人々を東京へ出荷していく。くそったれ東西線、クソみたいな総武線、惨めな京成線、大渋滞。未だに出荷されていないから、俺はこの社会の浮き穂のようで、思い込みってのも分かっている。

 俺はそんなつまらねえ気持ちを慰めるために、駅にあるキャッシングコーナーへと入る。もちろんこの駅も、こんな平日の昼間はほとんど人がいない。

 金を下ろす為だ。ご利用は計画的に。計画がないから利用する。計画的に、まだ借りていない会社であればと自動ドアをくぐる。

『ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております』

 機械から金が吐き出され、俺の社会的な信用のしょうもない価値がこの幾許かの紙幣であり、それはそれ以上のものはない。これで借金は増える。

 月に二割程度の利息が溜まり、こうして生き長らえる。

 俺は未だに二つ折りの携帯でいつもの連絡先へ電話を掛ける。

「あ、すみません。予約をお願いします。指名は佳音かのんちゃんで。はい」

 そうやって俺は自分勝手にデリヘルを呼ぼうとしていた。

 どこで? 自分の部屋で。色々なことで俺は行動が億劫になり始めている。

 頭が悪いから。ただただ性欲だけが俺を満たしている。

「怒り、というものは、頭の悪さから来る」

 俺は友人だったヤツにそう指摘されて、その通りだと思っている。

 不安。それはお金がないから。それだけなら全然いい。俺は金を借りて、ああクソみたいな淫売と俺は仲良くリビドーの疑似的発散をしてやがる。

「ようし」

 それでも気だけは大きくなりやがる。これはあぶく銭、労せずして得られた俺じゃないもの。ぐちゃぐちゃとうるせえ俺の中身が喚いても俺は金を使う。

 手ごたえのないまま、俺は人気のない駅前を見ていた。


 駅からクソみてえなアパートに戻る。ただ生存だけに用意された腐った住処。

 陽が当たっているにも関わらず湿り気のある畳に体を預けて天井をただただ見る。

 俺は〝神の怒り〟という言葉を反芻する。

『神の怒りだ。行くべきところは決まっているとうそぶく』

 紐づけられた記憶は自己啓発セミナーで師匠と呼ばれる男が言ったセリフ。俺は運営で設営と撮影をやってた。次いで街頭で延々と垂れ流される地獄行きの話が頭にちらつく。閉塞感を煽り、てめえの神だけが天国を目指せるだの、老婆の笑顔とちょっとしたチラシだの。

「セックスして喚いて蛆に喰われりゃいいだろうが」

 誰かがそれを実存的だと言った。だから俺は刹那的だと言い返した。軽蔑しろ。

 なんて適当なことを考えている内にドアがノックされる。

「こんにちは~」なんつって、女の声が聞こえる。

「俺の出番だ」

 ぶつくさと俺は独り言ち、腰を上げた。

 よいしょ、などと若者でないことを否が応でも自覚させられる。


 タララッツター、トカトン


「いつもありがとうね」

 そういった女の背中は年相応にうらぶれていた。彼女には佳音という名が与えられている。名刺にはデフォルメされたキャラクターが書かれている。俺はいつもそれを貰い、後で握りつぶすのを密かな楽しみとしていた。

 もう四十過ぎだろう。消極的なふてぶてしさと、女の部分がせめぎ合って俺の性欲解消に付き合った。こんな女でも、処理自体は問題ないのだ。いいや、こんな男に関わらなければならない事実に嫌な気持ちになる。

 寝そべり、畳が汚れるのもいとわず佳音から処理/サービスが提供される。最近は天井に釣り下がっている蛍光灯の輪をみるばかり。

 こんなことに金を使うのか。奥底ではそう言い、俺はそれくらいしか人間であることの理由を見いだせなかった。ただただ反応的、脳内の化学発作。

 で、終わる。一万円ほど。これは楽しいではなく、発作だ。抑えなければ。

 だから、シャワーを浴びた後、しょうもない話をしようとしている。俺は肉体を見たくもない。

 何がセックスだ、などと。俺はP活やら、よく分からない自尊心の話を持ち出す。紐付けられている。哀れな人間はどこにいるのだろう。

 そうすると佳音は、

「はぁ。個人的売春が溢れて、シラーでも読んだの?」

 などと言って、自分のバッグから煙草を取り出す。煙の出ない低温加熱方式の煙草。薄い桃色の加熱装置に煙草を差し込み、俺を一瞥いちべつした。

 特に気にしていない。俺が促すまでもなく、佳音は吸う。

 シラーが書いた群盗には熱がある。俺達は正しさの為、暴力を振るう必要がある。しかし、俺は正しさも、熱も、ない。

 追い詰められたんじゃなく、単にいじけてるだけだ。

「このあほらしさ」佳音は煙草を吸い、俺はじゃがいもを弄ぶ。太宰でもよんだの? という皮肉は喉元で抑えた。

 ただただ社会にふてくされて、借金を積もらせた。大人になれない年老いた子供。

「ふふ、ばかだねえ。金だなんて」

 以前言っていた。最初は良かった。他のアルバイトよりも。OLは私に向いていない。そうしてここに行きついた。良くある話、彼女たちの常套句。

 だから俺はこの女に甘えた。金を払い、介護して貰えればよかった。

「俺にはそれだけが我慢ならない」

 癖の様に衣服を身に着けようとして、やめた。時間はまだあるが、俺はもう何もする気が起きない。シャワーだって浴びちまった。

 何より、金について考えるとイライラしてくるのだ。

「もういいの? 喚いても生きなきゃならないの」

 社会のなんたるか、生きるためにやらなければならないこと。分かっている。だが、この目の前の女は自分に言い聞かせるようで、

「不条理な話に、理不尽な社会」

 と面倒くさそうに溜息を吐く。けれども佳音は別に面倒だと思っているのではなくて、ともかくそうした儀式めいたものを必要としている。

「線を引くから生きなきゃならない。辛くない生き方も出来るはずじゃないか」

 そう答えたがこの話は平行線になる。くだらねえ時間つぶし。何も言えることはない。

「いいえ、人生は辛いの。働かなきゃいけないし……」

 それが大人ってものじゃない。そう言った顔は年相応以上に老けて見えた。垂れ落ちた頬肉、刻まれた笑顔のシワ。武装の為に施した化粧も、俺を惨めにさせる。

 鈍麻していく流れの中で、繰り返しに収束していく人生。両親が幸せそうに振舞っている時に感じる疎外感と似たものが彼女にあった。

 俺はそれが何なのか、上手く説明出来ない。ただ苦しいのだ。

「じゃがいもは笑う。そんなに怒らなくてもね」

 佳音はそんなことを言って素早く服を着た。ジリリ。キッチンタイマーみてえな音が鳴り、行為は完成され、女はバッグを手に立ち上がる。

 じゃがいもは笑わない。俺は手の中のじゃがいもに爪を立てていた。それが不意に笑っているように見えただけだ。

「ほら、時間。今日もありがとうネ」

 そうして渡される昭和のメッセージ。俺は狭間だ。

 だから、手を挙げて「また呼ぶよ」と。佳音は部屋から出ていった。バタン、カツ、カツリ、そうやって去って行くのを俺は聞いている。

 俺はただ考えている。

 全裸で、畳に汗が染み込み、劣化するのも考えず。それらが生き物を呼ぶ。

 現実的な話なら、もう確実に両親に迷惑をかける。

 ただ、俺は考えている。笑うじゃがいも。ぼんやりとした不安。


 ズチャツキー、ダララ


 街を歩く。

 この津田沼という駅前の町は数年前、南側にマンションが建てられ広めに残されていた畑が無くなった。これから人は減るが、郊外の需要はもう少し先まである。

 二〇〇五年にダイエーが消えてモリシアに替わり、そしてこの大きな住宅地が生え揃った。北側はパルコやイオン、小さな歓楽街があり、少しごちゃっとしている。綺麗な町とは言えないが、不便さは少ない。

 そのお陰で京成津田沼駅の周辺は何もない。駅ビルも、駅前のホテルも、どこか終わっていく感じがして、特に平日の昼間にあの辺りを歩けば、酷く空しく感じた。

 だから俺は街を歩く。うらぶれた商店街から、合理的な駅前へと。

 踏切を渡り、ボーリング場の裏手を通ってイオンまで歩く。テレビドラマで紹介されていたステーキ屋を北へ。

 裏通りの道でもそれなりに交通量はある。端を歩くほかない。

 変わっていない様に見える住宅。俺がまだここにいるように、ここらの住民もまだここにいる。それがまだずっと続くかに思える。

 そんな補強された脳の錯覚に俺は眩暈めまいを覚える。これは俺達が作り出した屁理屈だ。明日死んじまうなんて信じられねえから、永久に歳を取らねえから。

 だが、もう公園で燥いでも体は規格外で、ブランコも滑り台も砂場も狭苦しい場所に成り果てた。どっかの本に書いてあった。

〝死〟は隠されている。

 死者の祭り、カタコンベ、俺達にはそうした身近な死がない。インカ帝国の時代に信じられていた自殺の神もいない。

 明日死ぬかもしれない。もうかなり前、不安で夜眠れない時期があった。まだ小学生だった俺は「人は必ず死ぬ。この意識は必ず雲散霧消する」という簡単なことに気付いてずっと電球を見ていた。死ぬかもしれない。死んじまう俺。

 そうした虚しさが今日の今日まで纏わり付いて離れない。

 だから俺は〝神の怒り〟と口走った気障な男に会わなきゃならない。あれだけで終えてしまうのも下劣だ。

 結局、畳に寝そべって考えた結果、俺は俺の良心を取り戻すべきだと感じた。

 そんなことを考えながら、俺は鉄橋を上り、線路をまたいで、イオンへ。

 食品売り場で適当なじゃがいもを手に取った。メークイン、男爵、馬鈴薯。北海道で生産されるじゃがいもは数十種類ある。こんな、よくいる普通のヤツ以外に、甘いのや赤いのなどが沢山あるのだ。

「いらっしゃいませー」

 だからなんだ。俺は量産されるじゃがいもを買う。それほどじゃがいもを気にする人はいない。あの気障な男〝神の怒り〟だってそうだろ。

 セルフレジ。俺は誰とも会話をしたくない。どんな時も。

 飯を喰う時、食券購入式でなければならないし、服だってネットでしか買わない。レジでカードや温めを聞かれるのすら俺は嫌だ。

 クソみてえな人間。矛盾している。だから俺は人間だ。

 機械的に手続きを終えて、やる気のなさそうな店員の「ありがとうございました」を避けるように店を出る。この広い施設で目に入るのは学生、老人、母子ばかり。俺のような曖昧な人間はいないように見える。

 それでも、あの気障な男は今日もいる。早い時分から営業している安い居酒屋で、一人酒を飲んでいるはずだ。

 日差しに目を細めてじゃがいもの入った袋をがさ、と鳴らす。買ってどうする。子供と母親の声が聞こえ、満ち足りたものが充満しているように感じる。


 あの男を見かけたのは、今からひと月くらい前の話だ。

 自分をクソくだらねえ場所から逃避させようと、刹那的せつなてきなふるまいを始め、順調に借金が溜まっていった。

 仕事も嫌になり辞めちまって、失業だなんだの手続きも面倒で放り、数週間家から出なかった。寝て、起きて、誰からの連絡も来ないように、外へつながる全ての電源を切り落とした生活の果てに『人間は病んでいる。人間を惹きつけるものは糞、それ以外にないのだ』と俺は夢想した。

 あるいは無造作に転がっている本の一説を読み、感化されたか。

「クソならクソらしく」

 クソ真面目なあの精神を馬鹿にして、社会の喧騒けんそうの中に出なければならない。もしくは耳を切るか。ヒマワリはまだ季節じゃねえ。

 読む本は少なくていい。人とのかかわりをなくしちゃいけない。繰り返し、繰り返し同じものばかり食べ、思考の鈍くなった頭を振って俺は〝神の怒り〟に会い、鼻をへし折り、拳には膿が溜まった。

 だからまた、中途半端な時間から営業している居酒屋に入る。こんな時間から飲んでいるのは暇な老人と、目的意識を焼失させた学生と、浮いた人間ども。

 一品二九〇円税抜の文字と薄利多売、束の間ビジネスが行き着く先。アジアのどこかの店員と、少し暗い店内。薄汚れた足元に掃除の痕は見られない。

 店名は〝酔いどれ伯爵〟と書いてある。どうでもいいが。

「お好きなとこ、どうぞ」

 店内を見渡せば、やはり中央にあの男が居る。

 しかし、今日は連れが目の前に座っていた。少し若く、会社員になったばかりといった風貌の男で、ご丁寧にタイピンまで付けていた。

「だからねえ「酒と安飯で腹を満たせ、全てはそれからだ」というのが」

 嫌に演技ぶった話し振りで〝神の怒り〟は若い男に言葉をぶつけている。

 それを聞く若い男はぼんやりとジョッキの酒を飲んでは枝豆を口に放る。特に酔った様子もなく「あ、キャベツお替りで」などと気に留めていない。

「よう〝神の怒り〟」

 俺は声を掛けながら、レジ袋の中で転がる馬鈴薯をテーブルに一つ置く。

 若い方が〝神の怒り〟の方を見て、

はまぐりさん、お知合いですか?」

 溜息一つ。暴力を振るった張本人が目の前にいて、それだけで済むなら安いもんだ。

 ただ、彼と分かり合わなければならない。何故なら笑うじゃがいもだから。満ち足りたものの充満とは、プロセスの完成であり、俺達は孤独に囲われている。

「何の用だね、また暴力を振るうのか「お財布と臍帯は無関係であるべし」」

 この演技臭さが鼻につく。気障な男だ。何を引用しているか知らねえが、その威勢の良い声が俺は嫌だ。

 隣の席に座ってじゃがいもをテーブルに一つ二つ三つ、、、置けば土がはらり。苦手意識たっぷりの感情が転がる。

 蛤は安い日本酒を徳利とっくりで一息やると俺に差し出す。

「投げないのであれば、これが私の鼻だ」

 鼻の形を保つためのギプスがいたずらっぽく、なんだか馬鹿らしくなる。

「蛤に鼻があるもんかよ。じゃがいもだ」

 笑わねえしなんだか緑色をしていた。これは売り物にならねえじゃがいも。そんなのも見分けられない自己嫌悪が酒を飲む。

「ポテトフライ、レゲエパンチ」

 どうせピーチリキュールなんてありゃしねえ、何かそれっぽい感じがありゃ十分なのが居酒屋だ。気取った場所なんかは誰の居場所でもねえ、お上品にチョコレートとウイスキーでも頼めってか。

 俺は蛤から受け取った徳利の水を飲み干す。

 ああ、本当に水だ。冷たく、匂いもない。

「寺川クン、私はね「徳利を交わせば人が知れる」君もやってくれないか」

 意味の分からねえ儀式。椅子の脇に掛けてあるトートバッグの中にじゃがいもを一つ入れてやる。これで目の前のテーブルには二つ。そのどちらも笑っていない。

「あー……。蛤さんの蛤の酒蒸し来ましたよ。生レモンサワーください」

 寺川と呼ばれた男はどうしてこんな男と一緒にいるのか。俺も蛤ももう若者とくくられる年齢じゃない。しょうもねえ人生を送って来た奴らの総体。

 店員はじろじろと俺達のやり取りを見る。ヒマなんだろう。

「何が寺川クン、だよ。じゃがいもあるだろ、喰えよ」

「私を殴って、徳利を交わし「この世界の神の怒りに触れよ」そう言い聞かせる」

 もうすでに酔っている。そんなことを言いながら高笑いをする。

 俺の目の前にはポテトフライとレゲエパンチが置かれている。映画を見る時はこれが一番だ。残念ながらここはシネマでもなく、薄汚い居酒屋。こんなクソみてえなやり取りがドラマってんなら、人間を惹きつけるのは糞だ。

「じゃがいもはね、こうやって食べるものではない。ほら、かじってみせよう」

 おしぼりでじゃがいもを拭いてから、蛤はそれをかりりと齧る。

 そうしてゆっくりと咀嚼そしゃくして飲み込む。目の前の寺川はもくもくと酒を流し込む。ダウナー系の薬物を喰らうあの目をしている。

「で、貴方は何をしに来たのですか、鼻を笑いに?」

 それともじゃがいもの使者ですか? ハハハハハ。乾いた笑い。俺はレゲエパンチを一息で飲み干し、ポテトフライをつまむ。

「その鼻は本当に悪いことをした。申し訳ない」

 なんて言えば、許されるわけでもない。蛤の顔から笑顔が消え、じゃがいもをこちらに放ってくる。

「「酔ってた時はお互い様。議論も暴力もおんなじだ」私は怒っていない」

 そう言って差し伸べられた手を俺は握り、それで終わり。

 そういうことにしておく。それ以上何かを求める様子はない。

「私は嬉しい。こうして話が出来る。大変結構」

「そうかあ? そのセリフはどうにかならねえ?」

 俺はじゃがいもを齧って蛤のトートバッグに入れる。目の前のテーブルに喰いかけのじゃがいも、素のじゃがいも、ポテトフライ。喰われれば笑う。

「まずいだろう」

 煙草を出して、もてあそぶが火は点けない。蛤が煙草を吸うようには思えなかった。

「まずい。なんでじゃがいもは笑うんだ?」

 俺は気になっていた。だけれども、ここは対話を放棄した男たちの場。

 口の中のじゃがいもは粉っぽく、かりりとして、苦い。ソラニンの毒。

「ね、ね、ふるふると頭を振って飯食う女が好きなんですよ」

 気付けば寺川は顔を赤くして、こちらを見ていた。

 素っ気ない風を装っていたのは緊張からか、立ち上がり俺のテーブルのじゃがいもを手に取る。

「ほら見てこれ。回帰のドラマ、どこいっちゃうんですか」

 軽々しく放り投げられたじゃがいも。天井をかすめてそのまま落ちて転がる。転げ落ちる。俺のじゃがいも。素のじゃがいもはテーブルから消え、齧られたじゃがいもは寺西が握りしめて、俺を見る。

「じゃがいも攻撃を開始。ばかやったおっさんめ」

 彼の目はわっている。蛤のような男と居酒屋で二人きりのストレスか、俺は立ち上がる間もなく、それを頭に叩きつけられた。いてえ。が痛くねえ。

「うるせえ」

 寺西の胸に飛び込み、彼を転倒させる。触れてみれば細く、力なく感じる。殴れ、叩け、やれ、やれ。そんな声ばかりが聞こえて来やがる。

「「酒と暴力、セックスと議論はよく似ている」止めたまえよ、そんなことは」

 俺は殴らず、寺西は暴れず、その顔は薄汚れてはいなくて、何かを見て取った様子だ。こんなもんはただのじゃれ合い。動物だからな。

「こちら、レモン……喧嘩はよそでやってください」

 店員はジョッキを持って困り顔。名札には『ミェン』と書いてある。

 寺西も蛤も俺もミェン含め、なんだかやけにこの場も白々しく思えた。

「だって、じゃがいもが笑っているんですから」

 液晶が光を発して、ろくでもないバラエティやニュースを垂れ流す。考えるな、感じるな、ただただ流れに従え。俺の頭でくしゃくしゃになったじゃがいもの黄色の中が笑っているように見える。影と水気のコントラストがそう見えただけだ。

 寺西は笑っている。俺は立ち上がり、彼に手を貸す。安っぽくてかてかとしたスーツは埃にまみれた。

 俺はじゃがいもが笑っているなど思えない。

「大丈夫です、喧嘩してないですよ」

 埃を払いながら寺西が言う。ミェンからジョッキを受け取り、あおる。

 蛤はもつ炒めをつまみ徳利からちびちびと酒を飲む。そうして俺をチラリとみて、またすぐにもつ炒めに戻る。

「飲みすぎじゃないか?」

「僕は大丈夫ですよ、蛤さん」

 寺西は空になったジョッキを置いて、財布を取り出した。テーブルに置かれた二千円は水滴を吸って色が変わる。

「ああ、今日はありがとうな」

「いえ、こちらこそ。猿谷さんも、また会いましょう」

 俺の名前を知っている。大方蛤が話したのだろう。この名前でふざけたことを言われるのが俺は嫌いだ。

「もう会わないだろうよ」

 寺西はそのまま自動ドアをくぐって去った。足元はややおぼつかない様子だったが、大人なら大丈夫。そんなわけはないってのも知ってる。

 俺はなんとはなしに寺西が座っていた席に着き、追加の酒が来るのを待つ。もう帰ってしまったかったが、蛤はじぃっと一点を見つめている。木製机の割れ目。

「貴方はどうやら、私が酔っていると思ってらっしゃるようだ「酔いと正気はいつも変わらずそこにある」」

「それはなんだよ。この前もそうだった。殴った手前何も言えないけどよ」

 とはいっても似たような言葉を俺は聞いたことがある。

「私は貴方が撮影した動画に映っていたので」

「はあ。」

 それがセミナーで働いていた時のことと分かったが、とぼける。さっき考えていたことが何か予感のようで目をそらしたかった。

「ああ、憶えていませんよね」

 それだけ言うと蛤は黙って徳利に溜まったとろみのある酒をつつく。

 まだ来てからほとんど時間は経ってないが、気分がめちまった。寺西を押し倒し埃まみれのスーツをはたいた時から、ここにいても仕方ねえような気がする。

「ロープ、ないか」

 言っているだけ。ただただ意識が流れて、飲み屋ってのはそういうもんだ。

 そう言ってみたかっただけの阿呆。

「もう出ないか、もう」

 倦怠感がある。

「出るのであれば「一期一会で成さねばならぬ」」

 蛤は席を立つ。伝票を持って。

「なあ、注文パネルなんで使わなかったんだ」

 普通に注文を取る店員、紙に注文を書いていた。無用になったタッチパネルが空しく料理や酒を表示している。

「ああ、お会計は一緒でいいですよ」

 蛤はそれに答えず金を払って出ていく。俺もそれを追った。


 ――鼻を折った相手と歩く。

「ズーは生きる礎」ロープが欲しいと言い、理由は知らねえ。

 それはなんだ、

「僕の神からの教えである」

 師匠は常日頃からロープを求め、であるからにして……僕は、と独白を続ける。ほんとうは『私は』なんて言うガラでもない。蛤は神経質にもあの言葉たちを信じる。

 俺はもう全く聞いていない。ただただぼんやりと歩く。

 蛤の師匠はセミナーのあの男だ。アジアにはロープがない、世界を渡り歩く。数年は会っていない。それはどうでもいい。

「二度と会えないのだから「不意に覗き込め、びっくりさせてやるんだ」」

 けれども知らないようだ、俺はロープを沢山持っている――


 ドッパドドドチド、ダラトケ、シャー。


 なんでか知らないが俺の家に着く。蛤は「行く当てがない」と言い、

「貴方の家に行かせてくれないか」で俺はそのまま連れて来た。

「飲んだら帰れよ」

「少しだけ、お邪魔するよ」

 途中で買った角瓶を開け、勝手にグラスを拝借して飲み始める蛤を横目に電信レンジでじゃがいもを蒸かす。居酒屋で少ししか食べていない。

 安物のアナログタイマー式レンジがぐおぉおーんと回っている中で、こいつはいつまでここにいるんだとか考えながら転がっているVHSを手に取る。ここまで連れて来て後悔していた。特に話したいこともねえのに何してんだろう。

 アラビアのロレンス。四時間近くもある映画で、俺はいつも最後まで見れない。アラブで起きた戦争と砂漠、砂漠、砂漠だから、退屈に感じた。

 黄ばんだ灰色のテレビはVHSが再生できる。この和室は全てが古く、引き戸の押し入れからはややきつい防虫剤とベニヤ板の匂いがする。

 布団は薄く、敷きっぱなしだからか湿り気がある。

「まだ早い」

 そんなことを言いながら、蛤はどろっとした眼差しでつまみに買った板チョコを齧っていた。それも、横になって煙草に火を点ける。

「吸えんの? 吸うなよ」

 部屋に満ちる煙草の匂いが嫌で窓を開けて換気扇を回す。紐を引けばバシャンと開いてファンが回る。電子レンジがピーと言って開ければ蒸気が溢れてじゃがいもにラップが張り付く。クッキングペーパーに包むと良いとか、面倒ごとを押し付けられないで済む。それを取って蛤に向き合う。

「映画はこれくらい長くて、物語があるものがいい」

 ゴッドファーザーがなんとかとか、ぶつぶつ言い始めるもんだから、

「なあ、どうして付いて来たんだよ」でも、聞いても蛤は答えない。

 ロレンスがアラブへ向かう。王族と話をする。馬に乗って先陣を切る。

 じゃがいもから出る湯気、何もつけず頬張れば熱い。粉っぽく、デンプンの甘み。

「師匠は美しいんだ『美的で汚的で全部がエロス』」

 思い出話の空気。昔のことを話したがるのは誰だって同じ。佳音も折に触れて昔の楽しい出来事なんかを語ってはイマを慰める。

「ろくでもない詐欺師の間違いじゃねえの」

 少なくとも俺は耳触りの良い言葉でイマを慰める商売をしていたのを間近で見た。

 見ていないのは真実で、現実で、畳に横たわる蛤。

「寺西は師匠の真似をしてくれる。嬉しいんだ『愛する先の暇つぶし』」

 けど、俺も似た者同士。

 蛤は灰を缶に落とし煙草を深く吸い込む。

「真似?」

「こんな僕でも、変わらずに、ヤってくれるのだから」

 アラブの一族とロレンスが話をする。信念と戦い。そうして蛤は自身のセックスの話を持ち出す。そんなつまらない話を聞きたくはない。

 俺は何も言わずトイレに立つ。色味のない小便をする。風呂の延長のような水色のタイルの和式。便座に触れない方が安心する。

「周りの思い込みなのだ「男女と誰が決めた? 決まって投げ掛ける多様性の嘘」」

 戻ると何も言っていないにも関わらず、弁明を始める。

 俺は眠気を感じる。どちらもメシ食ってヤるだけ。

「どうでもいい。俺は違うからな」

 そう言いながら退屈な映画に別れを告げる。蛤はずっと、ブラウン管の光に照らされている。俺は横たわる。

「僕はこんな部屋で盛り上がらないのだ「タイミングの価値は珠」」

 答えが返ってくるが、目を閉じる。

 部屋に戻ってくると急に面倒になる。誰がいようが関係ない。

 どうせこの部屋には何もない。蛤はウイスキーをあおる。

「鼻をへし折られてから、デキないんですよ」

 ああ、そりゃ悪いことをした。悪気はなかったんだ。

 とかなんとか言ったような気がするが、ロレンスが喋るのしかわからなかった。


 タカトン。ツチャーツララタ、ツチャッドッ……ッンカッダララララッッ!


 朝、蛤はいなくなっていた。よく分からねえカミングアウトをして、勝手に出て行った。

 VHSはテレビから少しだけ頭を覗かせ、引き出してみれば後編に差し変わっていた。全部見たのか、テレビは電源が落とされている。

「なにがしたかったんだよ」

 俺に対しても、蛤に対しても、どこか虚しさしか感じられない。

 ポストには新しい請求書、裁判所からのハガキだろうか。俺には金がない。

 そんなもんはどうでもいい。

 部屋は綺麗に片付けられていて「これでおあいこだろう」と、彼の落書きが壁に書かれていた。どこに持っていたのか、黒のクレヨン。久しぶりに見た。

 その字を見ると、無性にじゃがいもが喰いたくなる。袋に入った乾燥気味のじゃがいもを温め直し、何もつけず頬張る。粉っぽさ、デンプンの甘み。

 部屋がタバコ臭いので、俺は窓とドアを開け放して外に出る。

 盗られるものはない。金もない。

 部屋には転がる馬鈴薯だけがある。

 俺は時間を持て余し、日差しに誘われる。


 近場の公園のベンチに座って日差しにはい回る蟻を観察する。

 平日の中途半端な時間にいるのは老人と無為なスーツ。どこからか子供の笑い声や主婦の話し声が聞こえてくる。

 無意味に蟻を踏み、靴の溝で生き延びる蟻。

 至る所にある死。とそれに集る鳩。撒かれたパンくずに命を握られている。スーツを着た男はずっと小さい画面に指を走らせてそこしか見ていない。

 少しも先のことはわからない。何かになる機会を失った。スーツを着れば何かになれるのか、地面に×を描いてぼんやりとしている。

 快楽は苦痛と共にあり、気晴らしだけの人生の友は何か、なんて考えて唾を垂らす。

 重さのあり方。我慢してつくばる。蟻が唾の中でもがく。

 そんなものはない。生きていて、それだけ。

 日差しが暖かく、眠りに落ちそうになると誰かに肩を叩かれる。

「金銭的な問題は精神の問題ですよ」

 寺西がキッチリとしたスーツ姿で立っている。昨日の皺だらけの恰好じゃない。

 人を拒絶するような完璧な身なりだ。そんなことを感じ、

「なんでここにいんだよ」

「そして精神の問題は身だしなみの問題ですので、このようにすれば、何があっても」

 嬉しそうに語る。理由は分からない。蛤が話をしたのか。

 分かったような口ぶりはあの〝師匠〟の真似か、見知った声に安堵する。

「だからホテル、行きましょう」

「は?」

 これは冗談か。何にも解決にならないと笑う。本心かもしれない。

 鼻をへし折った神の怒りだ。神とはだれか?

「それはともかく、じゃがいもです」

 答えられないままでいると、鞄から取り出す灰色、黄土色、赤、三つのじゃがいも。

「これは笑ってないな」

 受け取り、寺西と〝師匠〟は似ている。そう感じたのは精神の痂皮かひか。事実はただの青年で、俺は昨日初めて会っただけの男。

「そう思うんですか」

 師匠と呼ばれていたヤツは「ロープ一本で世界を渡り歩いた」と口癖のように言っていた。何より、笑顔を大切に、笑っていることだけ。

「ちょっと、歩きませんか」

 どうせ暇なのだから。と言わんばかりで、じゃがいもを掌で転がせば綺麗に泥が取り払われているのが分かる。

「じゃがいも邪魔だな」

 立ち上がってむりやりポケットにねじ込み、内腿にじゃがいもが当たる。

「どうですかね、ホテル」

 半笑いの寺西は本気じゃないだろう。

 アパートの外から商店街を上れば昔はビデオ屋だったテナントが見えてくる。そこでは老人たちが並び、なにかを待っていた。死ぬまでのおしゃべりを楽しむ。

「ここはなんだと思いますか? 僕の職場なんですけどね」

 少し先の坂道と植え込みと、入り口らしさを象徴したオブジェの間で立ち止まる。

 老人たちの行列の少し先。ピザ屋がある。

「健康食品を売ってんだろ」

 特に意味のない食品はオマケだ。人対人の健康を売ってる。

 寺西は首を振り、コツ、と革靴を鳴らした。

「合わさらないとダメなんです。僕は偶然にも、老人の心に訴えかけるのが上手かった、健康にまつわる不安と愛、子供っぽい優しさ」

 笑う、笑う、笑う。

 笑顔を人に見せようと意識する。

「おっと、釣られないでくださいよ、これは老人の笑いなんですからね」

 のぼり切れば駅が見えてくる。

「笑うじゃがいも。思い出した」

 寺西と〝師匠〟はよく似ている。

 見せようと意識した笑い、じゃがいもが笑えば、みんな怒らない。

「あれ、誰が広めたんですかね?」

 寺西は不思議そうに首を傾げた。


 カーン。


「それなら、ホテル行こうぜ」

 何か当てがあったわけじゃない。俺は信号待ちの時にそう口走っていた。

 老人の笑いは死に近い。俺は常に不安定でありたい。無軌道さこそが人間の楽しさ。

 本当に行きたい。と、何故か思っていた。

「嫌ですよ、僕のタイプじゃありませんし」

 笑いながら、自作と思われる名刺を出す。

「そうだよな。俺も違う」

 京成津田沼のさびれた駅前、交番の前でそれを受け取る。

 女も男も笑う。見せるためだ。殴るためだ。

「借金を返済したら、考えます」

 返せるだろう。選ばなければ働き口はあるから。

 生き甲斐は特にない。笑っている。

「なんとかカウンセラー。やっぱ怪しいなお前」

 だから、借金を返す為に寺西とセックスをする。匂いが合えばそれだけでいい。

 名刺にはごちゃごちゃとした肩書、幾何学模様と住所が書いてある。

「素敵な名刺でしょう」

 返すのが先でも返す為にセックスをする。

 曖昧だ。そうしたところでイマが変わるわけもない。だから、

「俺は神の怒りの師匠、知ってるんだ」

 言えば驚く寺西。

 交番の警官に頭を下げ、俺は金のことだけを考えている。


 ~終~

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