第5話' 天武の素姓と持統の関与(後編)
大友皇子の姉 持統女帝は、壬申の乱の勝者 天武天皇を否定したかったのではないかと私は検討している。
でも それなら何故、彼女は天武を簒奪者として弾劾しなかったのか? 先達者らの説に従えば、天武は自らの血統を変造し、その次代 持統は その路線を踏襲していた。
その理由として考えられることは、まず、 持統は 天武の后であり その後継政権であるのだから 大っぴらには 彼を否定できなかったということだ。この場合,いや 他の場合でも そうだが、対立勢力との兼ね合いが想定された。
また、どこの馬の骨とも分からない人物の即位を記すことで 万世一系の血統が傷つくことを恐れたという線も拝察される。
けれど、持統の行動を鑑みると、何となく釈然としなかった。
そもそも、本当に 壬申の乱の勝者 天武天皇は 自らの素姓を隠していたのか? 果たしてそこに天智の娘 持統女帝の作為は全くなかったのか?
あるいは、ひょっとすると、天武の本当の素姓を隠蔽したのは、天武天皇その人ではなく、天武の次代 持統天皇だったのかもしれない。
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