第4話' 天武系(後編)

 第42代 文武天皇の亡き後、皇位は逆行し、文武の母へと受け継がれた(元明:第43代)。次いで 文武の姉 元正天皇(第44代)を経て、『日本書紀』が撰上された翌年,辛酉の年(721年)に、文武の子 聖武へと皇位の継承がはかられたと一部では推定されている。

 しかし、この年のそれは 皇親勢力の巨頭 長屋王ながやおうらの反対により 頓挫したものと同様に見受けられている。

 ちなみに、この長屋王の父は、天武の長子 "後皇子尊"こと高市皇子。第41代 持統女帝から第42代 文武天皇への皇位継承は、後皇子尊の薨去の翌年に実行されていた。おそらくは、彼が目の上のたんこぶだったのだろう。天武系の中で、ことが窺われた。

 聖武天皇(第45代)の即位は 724年に実現するが、もともと生まれ 育ちにくかった その皇統の男子が ついに絶え、次の見通しが立たないまま、聖武の後代として日本史上唯一の女性皇太子が即位(孝謙:第46代)。

 紆余曲折を経て、かの女帝が重祚するが(称徳:第48代)、称徳女帝の崩御をもって到頭その流れは断絶した。彼女が皇室を揺るがす大事件を起こしたことやタタリと思われる自体が続いたことも相まって、皇位は天武系から天智系へと移された。

 復活した天智系の実質的な初代 桓武天皇は781年(辛酉の年)に即位し、正史『日本書紀』に続く正史の編纂を指示。その正史(『続日本紀』)は桓武天皇の在位中に完成された。

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