第92話-花-

 個展の開催を祝う花束が、各所からユキのもとに送られてきていた。


 個展開催の前日の夜、ユキは色とりどりの花に見とれていた。


 美大を卒業してから早二年。

 いよいよ明日、初の個展が開催される。

 ユキは感傷に浸りながら会場で一人、飾られた花束を眺めていた。


 不意に、ユキの目の前にあった花束がガサガサと動き出した。


「オメデトウ」


 花束の中から、魚のような怪物が顔を出し、ユキの顔に飛びついてきた。

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