第90話-ユーレイ・イン・ペットボトル-

 ペットボトルの中には、しばしば飲み物以外のものが入れられることがある。

 小さい頃は浜辺で砂を入れていた覚えもあるし、店でBB弾なんかを詰めて販売していることもある。


 しかし、幽霊のペットボトル詰めなんて言うのは見たことが無い。

 いや、世の中にはおかしなものが出て来るもんだ。


 幽霊は、繁華街の近くに置かれた露店で売られていた。

 炭酸飲料なんかを入れる透明な丸いペットボトルの中に、青白いものがフワフワと浮かんでいる。

 なるほどこれが幽霊か。


 物珍しさと、一本二百円という値段に、つい年甲斐も無く購入してしまった。

 まあいいさ。普段仕事ばかりで癒しも無いんだから。


 こんなくだらない物でも、多少は暇つぶしになるだろう。

 そう思っていたのだが。


 幽霊なんて言うのは退屈なものだ。

 何せ動くでも成長するでもなく、ひたすら容器の中をフワフワと浮いているだけなのだから。


 外から何か刺激を与えてみても、反応など全くない。


 幽霊が逃げるから蓋を開けるなと買った時に注意されてしまっているし。

 というか、幽霊ならこんな何の変哲もないペットボトルくらい、簡単にすり抜けてしまえるんじゃないか?


 なんだか段々イライラしてきて、ペットボトルの蓋を開けた。


 その瞬間、今までペットボトルの中で浮いていただけの幽霊が飛び出


















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