第83話-ぺとぺと-

 やっぱりだ。

 ここ十分ほど、濡れたような足音がずっとついてきている。


 俺が走れば足音も走る。

 俺が止まれば同じように止まる。

 不気味で後ろを確認することが出来ないが、これは確実につけられている。


 しかし誰がどういうつもりで……と考えたところで、俺はあることを思い出した。

 あれはたしか、小学生の頃。


 図書室で見つけた妖怪図鑑の中にいた。

 そう、ぺとぺとさんだ。


 色々と別名があったが、確か後ろをついて来る妖怪。

 確か対処法は、ぺとぺとさんに道を譲ること。


「お先にどうぞ、ぺとぺとさん」

「それじゃ、どうも失礼致します」


 俺は家まで全力で走った。

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