第55話-ツチノコ-

「なんだかんだでもう五十四話終わったのか……」

「まだ五十四話って感じもするけどな」

「ねえ、ほんとに百話話したら怪現象が起こるのかな?」

 樹の言葉に、一同はしんと静まり返った。


 啓介は、肌寒くなったのか冷房の温度を少し上げた。

 三人は、その様子を黙って見守る。


「九十話くらいで止めとく?」

「まあ、その前に飽きるかもしれないしな」

 涼の提案に、啓介がしどろもどろに答えた。


 何かが起こると、本気で思っている訳では無い。

 しかし、ここまでいくつもの会談を話してきた後では、なんとなく不気味さを感じずにはいられなかった。


 一瞬、部屋の中に沈黙が流れたが、順番が回ってきた修也が軽く咳払いをしてから話始めた。


「じゃあ、次の話を読み上げるわ。ツチノコはみんなわかるよな?」



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 ツチノコとは、日本のUMAです。

 北海道と南西諸島を除く日本全国で目撃例があり、太く短い蛇のような姿だと言われています。

 頭は三角形であり、高いジャンプ力を持っています。


 また、ツチノコは江戸時代から目撃例があり、野津地ノヅチとも呼ばれていました。


 このツチノコを捕獲しようとする方がいますが、絶対におやめください。

 ツチノコを捕まえようとする人間は必ず不幸になると言い伝えられているからです。


 ある男性の話です。

 ツチノコには懸賞金がかかっていることもあり、その男性もツチノコを捕まえるべく山の中に入っていきました。


 うっそうと茂る木々を掻き分け山の奥に入っていくと、その先には……

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