風にのって

熱い風がざっとふいた

身をすくめる わたし


迷っている

あなたがいないから


心がぶれたわけじゃない

初めから

間違っていた

あなた以外のひとと

いる毎日なんて 

全部虚構の日々……

かりそめの姿なら

ここにいるわたしは誰?

タンポポに生まれ変わりたい

あなたにあいに行けるのに


人の姿を辞めたい

だって

このままじゃ

二度とあなたには会えない


ならいっそ、

許される日が来るのを待つ

静かに


白い煙になりたい

空に昇れば

やっぱりあなたを探すだろう


ベランダで洗濯物を

取り入れるとき

歩く男のたばこの香り


重いピースの紫煙を

くゆらせるあなたを

ふと

思い出した


あの時間が

ずっと

続くと

思っていた


いつかどこかで、

今、かりそめがやってくる

いつかどこかで、また

会える日が来るまで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る