今夜ははなしたくない

つないだ手はそのままに、

それじゃ、帰れない。


今夜中に

朝が来るまでは

帰らないと……


朝から雨だった

懸命に会いたくて飛ばした車は

路面の雨を

跳ね上げる


青い空ならどうだった?

こんなに刹那的にならなかったでしょ


わたしは

一人

いつもの花やさんの前で待っていた


しばらくぶりね。


無言で助手席に乗り込むわたしに

視線を合わせないのは、なぜ?


もう会えない


聞こえないふりをしたわたしのほうを見た

やめて、

これ以上見ないで。


みじめになるじゃないの

今日は七夕なのに

なぜ、今日言うの


ほかにも

別の日があったと思うのは

私だけ……


この手をはなさないで。

これが最後なんでしょ……


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