水をきる

寒い朝も

錦秋の夜も

いつも二人だった


夜の湖を

いつまでも

二人で見ていたかった


なぜ

手放してしまったのだろう。


去ったのはあなた、

途切れた思いはもう思い出せない。

短すぎた? 

楽しすぎた? 

愛しすぎた?


嘘だ、

忘れてなんかいない。

わすれてなんかいない。

忘れるはずもない。


あかねさす

何度も

思い出す。

この句には私とあなたがいるから、

忘れることはない。

手を振るのはあなた、

私はそれを見ている。


さよならよりも

悲しい思いを止めて。

もう、これ以上

笑うふりなどできない。


黒髪が

触れるほど近寄りたい。

あと少し、

指を伸ばしたら目が覚めた。


外は雨。

激しいたたきつける雨音。

いつまでにやむだろうか。

この闇を切り裂いて

明るいほうへ歩いていきたい。


甘い過去の記憶なんて

タダ痛いだけ。


両刃の刃は

私に振り下ろされた。

バラバラになった私の心。


もう我慢しなくてもいいかな

あの夕日をもう見たくない、

悲しさが募るだけだから。

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