9.しげる(3)

ガクン!


突然、電車のスピードが落ち、車内の照明が落ちた。


あれ?


「ただいま、瞬間停電が発生いたしました。照明と空調が停止しておりますが、まもなく復旧いたしますのでご了承ください。」


瞬間停電か・・・。久しぶりだな。


この路線は結構瞬間停電が多いかもしれない。


まあ、この騒ぎであの二人も私のことを忘れてくれると良いんだけど・・・


違うことに意識を向けてくれれば・・・


ダメだ!


二人とも、私に注目している。


そうか・・・


オーラが見えてしまった・・・


この二人とはシンクロしてしまったので、私の発しているオーラが見えるようになってしまったようだ。


まずいな・・・


こうなってはごまかしようがないかもしれない。


完全にこの二人は私に興味を持ってしまった。


しかも、私と直接接触しようとしている。


何とかしないと・・・


うまく二人をまいて逃げることができるだろうか。


いくら相手の考えていることがわかるといっても、二人に注目されてはごまかすのは難しいかもしれない。


どうするか・・・


考えなければ・・・


乗換駅はもうすぐだ・・・


いっそのこと・・・


いや、それはさすがにまずいだろう。


でも、二人くらいなら・・・


それに、いざというときはあの手が・・・


あの手か・・・


あまり使いたくないけど・・・


私のためにも、あの二人のためにも・・・


幸い乗換駅はターミナル駅なのでみんなが一斉に降りることになる。


そこに紛れてしまえば、何とかなるかもしれない。


さっきの駅で一度降りたときに少し離れたところに立っているのも逃げやすいかもしれない。


体力的にはあの二人にはかなわないがうまく紛れることができれば・・・


もう、あと二駅になってしまった。


次の駅は反対側のドアが開くので、このままの体制で降りることになる。


なんとか紛れてしまわなければ・・・

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