ずっと踊らされていたが、俺に屈するつもりはない。――3
城内を走り抜けた俺たちは、城門へ続く
「これからどうしよう、師匠?」
「王さまたち、敵になっちゃった」
頭を回し、サシャとピピに答える。
「ブルート王国に戻って、ブロッセン王の企みを伝えよう」
「そ、それでは、戦争に、なってしまいません、か?」
心配そうに訊いてきたシュシュに、首を横に振る。
「ブロッセン王と大臣の話し合いによれば、充分な
ブロッセン王国が戦争の準備をしていると聞いて、見過ごす国はまずいない。
複数の国で圧力をかければ、ブロッセン王も戦争を諦めるだろう。敗北が決定している状況で、戦争を起こすことはないはずだ。
リラの期待に応えられなくて、申し訳ないけれど……。
俺は歯噛みして、それでも気持ちを切り替えた。
後悔しても仕方がない! いまできる最善を尽くそう!
桟橋を渡り終え、城門を抜ける。
直後、短刀を手にした三人の男が、襲いかかってきた。
唐突に現れた襲撃者に
「回避!!」
俺の警告を聞いた五人が散開する。
俺も三人の男の頭上を飛び越え、短刀を回避した。
しかし、襲撃者は男たちだけではなかった。
城門の前に並んだ、ひと、ひと、ひと。
ある者は包丁を、ある者は棍棒を手に、立ちはだかっている。
食堂の制服、ピエロの衣装、紳士服――集まった人々が身につけているのは、明らかに戦士の衣装ではない。
俺は我が目を疑った。
俺の戸惑いを代弁するように、ミアが声を上げる。
「どうして、ブロセルクの方々が……!?」
そう。俺たちを襲おうとしているのは、ブロセルクの住民だったんだ。
混乱しながらも、俺は気づいた。
住民たちの目は、焦点が定まっていない。顔にも表情らしい表情が浮かんでおらず、まるで人形のようだ。
まさか……操られているのか!?
「ご主人さま、囲まれちゃったよ!!」
クゥの声にハッとする。
住民たちはいつの間にか背後にも回り、俺たちを取り囲んでいた。
しまった! 動揺しているあいだに回り込まれてしまった!
罪のない住民たちを傷つけるわけにはいかないから、俺たちが本気で抵抗することはできない。
しかし、力押しでもしなければ、数の暴力でやられてしまう。
住民たちに取り囲まれた現状は、最悪と言えた。
俺は歯を
「この状況は、マズい!」
後悔しても遅かった。
住民たちが、それぞれの武器を振りかざし、
「『ウォーターウェーブ』!」
俺たちの周りに、水の壁が出現したのはそのときだ。
水の壁は
シュシュの水魔法だ。
炎・氷・雷魔法は、どれだけ加減しても相手を傷つけてしまう。
だが、水・風魔法は別だ。
実際、シュシュのウォーターウェーブは加減されていたようで、住民たちに目立った怪我はなく、せいぜい打撲や
住民たちの包囲に、綻びが生じる。
数秒間の好機。
突破するなら、いましかない!
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