課題のために森に入ったが、ハプニングしか起こらない。――1

 あれから三日が経った。


 そのあいだ、俺たちはメアの森にもぐり、湖沼こしょうを探していた。


 見つけた湖沼は五つ。


 五つの湖沼の位置を確認した俺たちは、中央にある湖沼を拠点にすることにした。


 レインボーサーペントは満月の夜に出現するらしいが、時間帯までははっきりしていない。どの湖沼からどのタイミングで現れるか、わからないんだ。


 中央にある湖沼に位置取っておけば、ほかの湖沼からレインボーサーペントが出現した場合でも、すみやかに駆けつけることができる。


 もっとも効率的に移動できるのが、中央の湖沼なんだ。


 中央の湖沼付近には霧がなく、陽の光も差しこんでいた。


 エリスさんとの勝負中だけど、うららかな陽差しを浴びていると、どことなくピクニック気分になってくる。


 四人も俺と同じ気分のようで、テントを張っているあいだ、鼻歌をうたっていた。


「さて、テントが張れたことだし、昼食にしようか」

「「「「はーい」」」」


 額の汗をぬぐいながら言うと、素直に返事をしながら四人が手を挙げる。


「まずは食材の調達と火起こしだ」

「じゃあ、ボクは森で果物とか探してみるよ」

「あ、あたしも、クゥさんの、お手伝い、します!」

「ピピ、お魚さん、とる」

「では、わたしは火を起こしましょう」


 役割分担はスムーズに決まった。


 率先して手伝ってくれる四人がありがたい。


「俺は調理の準備をしておくよ。それから、クゥとシュシュにお願いがあるんだけど、いいかな?」

「もちろんだよ!」

「な、なんでも、おっしゃって、ください!」

「ハーブがあったら採ってきてほしいんだ。あと、大きめの葉っぱも」

「大きめの葉っぱ?」

「お、お料理に、必要、なんですか?」


 クゥとシュシュが、コテン、と首をかしげる。


 可愛らしい仕草に、思わず笑みがこぼれた。


「うん。いい香りがする葉っぱなら、なおよし」

「わかったよ、ご主人さま!」

「い、行って、参ります!」


 クゥとシュシュが元気に駆けだす。


「ピピも、いっぱい、とってくる」

「わたしは、まきになりそうな枝を探してきますね」


 ピピとミアも、それぞれの仕事に向かった。


「よし、俺もはじめようかな」


 四人を見送って、俺はバックパックから調理器具を取りだす。


 頑張ってくれたみんなのために、美味しい料理をご馳走ちそうしないとね。

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