意地の悪い輩だらけだが、勇者は結構いいひとらしい。――1
「三本目の課題は『レインボーサーペントの討伐』ですぞ!」
翌日の昼前。
グレゴールさんが、集まった人々の前で説明をはじめた。
「お
俺は腕組みをして首を
レインボーサーペント? 知らないモンスターだな。
グレゴールさんは、レインボーサーペントの生息地がどこか明かさなかった。つまり、今回の課題では、まずは生息地を調べなくてはならないらしい。
俺は四人に念話で尋ねる。
『みんな、レインボーサーペントって知ってる?』
『ううん』
『はじめて聞く名前です』
『ピピ、知らない』
『お、お役に立てず、申し訳、ありません』
参ったな。みんなも知らないなら、お手上げだ。
俺は「うーん」と
「加えて、今回の課題では、レインボーサーペントを一体
悩んでいると、グレゴールさんが唐突にルールを付け足した。
驚いて見やると、グレゴールさんはニタァ、と、いやらしい笑みを浮かべる。
「今回のみは、神獣全員の参加を許可しましょう。勇者は全力の相手を下してこそですからなあ」
そして、
「必ずやエリスさまは成し遂げるでしょう! やはり、悪魔は敗れ去る運命なのです!」
「その通りだ!」
「エリスさまが勝たれるに決まっているわ!」
村人たちが、拳を突き上げる。
やられた。
俺は唇を噛む。
グレゴールさんは、俺たちがレインボーサーペントについて、なにも知らないことを見抜いたんだろう。
おそらく、エリスさんはレインボーサーペントの生息地を把握している。
グレゴールさんは、エリスさんの勝利を見越したうえで、『一体討伐する毎に1ポイント』というルールを追加したんだ。
なにしろ、負け越しているエリスさんにとって、この課題は逆転の大チャンスなのだから。
そして、
三本目の課題で、グレゴールさんは決着をつけさせようとしているんだ――エリスさんの逆転勝利というかたちで。
『どうしましょう、シルバさま』
ミアが不安げに
俺たちにできることは、ひとつだけだった。
『……レインボーサーペントについて調べよう。そうするほかにないよ』
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