第11話 討伐の後
5人はグレイのすることに感心しまくりで。そのまま全員で森から出て馬車に戻ると、グレイがギルマスを見つけ、
「オロチは3体いた。討伐して死体はアイテムボックスに収納してある。他はいない様だ」
「分かった。よくやってくれた。死体はエイラートのギルドで出してくれ」
ギルマスの言葉に頷くと、
「じゃあ俺は浄化を手伝ってくる」
そう言うとその場で浮遊し、リズ とマリーが浄化している場所の反対側に移動するとそのまま空中から浄化魔法を唱えて腐敗した土地を元どおりに復元していく。
「あれが大賢者の魔法。想像以上だわ」
空中から神聖魔法を唱えると、かなりの広さの土地があっという間に以前の状態に復元されていく。そのグレイの仕事ぶりに見惚れているマリー。
「ね。うちの旦那さん、凄いでしょ?」
満更でもないリズ 。
オロチを討伐してから小一時間でオロチによって腐敗した土地は全て元どおりに回復できた。
(これが元勇者パーティの実力か。リズも相当の腕前だ。それよりも何よりもグレイの奴、俺が知っている時よりもさらに一段と強くなってるな。さすがに大賢者と言われているだけある)
土地の浄化が終わると一行は馬車で来た道を戻り途中の村で討伐の報告をして村人から大歓迎を受けその夜は村上げての宴会に参加。
翌日にエイラートの街に戻って来た。そのままギルドの裏にある魔物の解体場に向かうとギルマスのリチャードが職員に、
「東で討伐してきたオロチ3体、これから出すぞ」
職員からは、
「オロチか、目と胆嚢が無事だといいな」
ギルマスに言われてグレイがその場で3体のオロチをアイテムボックスから出すと、
「結構でかい」
「目は6つとも無事だ、こりゃ高く売れるぞ」
などと職員が話しあっている。それを尻目に討伐メンバーはギルド内の会議室に戻るとギルマスと2人のギルド職員が入ってきた。
「ご苦労だった。各自のギルドカードを出してくれ」
一人の職員が集めたギルドカードを持って部屋を出ていき、もう一人のギルド職員は金貨の入った袋をテーブルの上に置く。
「今回は一人金貨8枚だ。取ってくれ」
「金貨5枚じゃなかったのかい?」
討伐に参加した戦士のブレインがギルマスに聞くと、
「倒したオロチの状態が良かったんでな。素材が高く捌けそうなんだよ、なので
金貨8枚に増やした」
「そりゃありがたい話だ」
「これもグレイさんが一発で仕留めたからだよな」
ランクAの冒険者から礼を言われてグレイは
「一人じゃあそこまで状態の良いまま倒せたかどうかはわからない。皆の協力がああったからさ」
そう言うとリズ とグレイの分金貨16枚を手にする。
「皆、ありがとう。今回のクエストはこれで終了だ、下のカウンターで更新したカードを貰って帰ってくれ」
グレイとリズ もカウンターでカードをもらうとギルドを出てエイラートの大通りを並んで歩いて家路に向かう。
「今日のグレイ、格好よかったよ」
夕暮れの大通りを歩きながらリズ が隣を歩くグレイに言うと、
「賢者の魔法があったからな。使い勝手の良い魔法だよ。勇者パーティの時に使えたらもっと楽だったかもな」
「浮遊しながら精霊魔法が打てるなんて、ある意味無敵じゃないの?」
「そこは否定できないな。正直反則級だよな」
「でもそれで魔物が倒せて皆な安全に暮らせるなら遠慮せずに使うべきだよ」
「そうだよな」
リズ はグレイと並んで歩きながら勇者パーティの時の事を思い出していた。
精霊魔法も回復、神聖魔法もケリーやリズ に劣り、最大のレベルに到達していないにも関わらず、腐ることもなく毎日鍛錬し、パーティでは常に参謀役で作戦を立案、戦闘中は周囲に気を配って私やケリーの魔力量を見ていて早めに休ませてくれて、その間は精霊、回復と一人二役でパーティに貢献し、戦闘が終わるとメンバー全員に回復魔法を付与して私の負担を軽くして常にパーティが一番良い状態で動ける様に気を配っていたグレイ。
こうして大賢者と呼ばれる程になっても今までと全然変わっていないグレイを
リズ は以前より好きになっていた。
「どうした?急に黙って」
立ち止まってリズ を見たグレイ。
「ううん」
そう言うとリズ はグレイの腕に両手でしがみついて
「ねぇ。今夜は何食べたい?」
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