第8話 二人の生活


 翌日朝起きるといつもグレイがやっている鍛錬を庭で2人でする。


「今でも毎日これしてるの?」


「ああ。日課になってる」


「流石ね。そういえばパーティの時も毎日部屋でしてるって言ってたわよね」


「ああ。あの時は他のメンバーに迷惑を掛けちゃいけないって気持ちが強かったし」


「でもグレイがいたから上手くいってたって他のメンバーも皆言っていたじゃない」


 鍛錬を終えてリズが作った朝ごはんを2人で食べながら、


「でも当人は結構悩んでたんだよ」


「そうなんだ」


「今じゃもうこれをしないと何か落ち着かないんだよ」


 食事を終えるとリズはエイラートにある教会に挨拶に行くと神官の正装で出かけていった。


 グレイは悩んだ末にギルドに出向いて昨夜からの流れをギルドのリチャードに話しをすると、事の顛末を聞いたギルマスのリチャードは笑いながらも祝福し、


「お前もついに結婚か、めでたい話じゃないかよ。しかも相手がお前と同じ元勇者パーティのランクSの僧侶だろ?こりゃここのギルドに取ってもいい話しだ。嫁さんも傭兵にさせるんだろう?」


「流れ的にそうなるな」


 グレイのその言葉に大きく頷くと、


「そうなりゃこの街も当分安泰だ。それにしてもメディナの皇都から一人でここまで来るとはな」


 と感心しきりで…グレイも苦笑して


「あまり期待すんなよ」


 ギルドから戻ってしばらくするとリズも教会から戻ってきた。


「教会は手が空いてる時に手伝ってくれって言われたわ」


 グレイが傭兵の仕事をしていると話をしてギルドからリズも傭兵にしてくれと言われていると話すと、


「いいんじゃない?グレイと一緒なら安心だし、街の安全の為なら断る理由はないわね」


 そうしてグレイとリズは午前中から午後に掛けては郊外の森でランクAの討伐を行い、夜は2人で酒場にでることになった。


 初めて移動魔法で森に飛んだ時にリズは


「凄い魔法ね。移動が便利になるね」


 と感心し、リズをお姫様抱っこして浮遊・飛行魔法で空にあがると


「すごく綺麗な景色。もっと高く飛んで」


と空の散歩を大いに楽しんだ。


 夜の酒場は今までの大賢者に加えてランクSの僧侶、それも美人でスタイルの良い女性が来たってことで今まで以上に日々満員となりランクSの夫婦の店はますます繁盛していった。


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